太田家住宅。鞆の浦に残る江戸時代の造り酒屋

太田家住宅とは。江戸時代の巨大造り酒屋

鞆の浦は、広島県福山市に残る瀬戸内海の景勝が楽しめる観光スポットです。瀬戸内海の島々が織りなす独得の風景は、その美しさから、かつての朝鮮通信使が朝鮮半島より東で最も美しい場所と評したほどです。

また、鞆の浦では、太平洋戦争の空襲からも免れたことから、街全体に江戸時代や明治時代の名残が濃厚にのこされています。本日ご紹介する太田家住宅は、その代表的な存在といえるでしょう。太田家住宅は、福山が誇る特産品である保命酒の造り酒屋として、江戸時代から現代まで残る建物です。

鞆の浦でも昔ながらの歴史的建造物が立ち並ぶのがメインスポットに存在し、有名な常夜灯が登場する街並みのすぐ近くにあります。

太田家住宅は江戸時代は、保命酒の造り酒屋中村屋の邸宅として、そして明治時代からは、廻船問屋を営む太田家の住宅として残されてきました。内部では、江戸時代から続く巨大な酒造業の商家がそのまま残されており、貴重な江戸から明治にかけての商家と、造り酒屋の姿を堪能することができます。

また、この太田家住宅は国の重要文化財の指定も受け、史跡としても名高いスポットとして、鞆の浦の名所の一つに数えられます。鞆の浦の貴重な観光スポットをご紹介します。

 

福山 鞆の浦 観光スポット

太田家住宅の見所

太田家住宅は、冒頭でもご紹介しました通り、江戸時代から続く造り酒屋として、現代までつづきました。その創業はなんと1659年、万治2年といわれています。

今からおよそ350年以上も昔から続き、福山の代表的な特産品といわれる保命酒の中心的な存在でした。その現存する建物たちは国の重要文化財にも登録され、史跡にも指定されています。また、幕末には、三条実美などの有名な7公卿が政変に敗れて落ち延びる途中、この太田家に宿泊していたともいわれています。

ここでは歴史的な魅力あふれる太田家の見所をご紹介しましょう。

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広大な敷地に残る、美しい保命酒の酒蔵

太田家住宅は、先にもご紹介しましたが、もともとは、鞆の浦の名産品保命酒の製造を行う中村家の屋敷兼生産工場でした。その創業は1659年と江戸時代の初期で、大阪から鞆の浦に移り住んだ中村吉兵衛が製造を開始したのです。

ちなみに保命酒とは現在の薬味酒で、この太田家住宅の元の持ち主、中村家が代々独占的に製造販売してきたお酒です。江戸時代にはなんと、将軍家専用のお酒として認められ、将軍家から上級武士、公家、豪商など、当時の上流階級ご用達の高級酒として愛用されました。

太田家住宅の見所は、そんな保命酒の生産現場と豪商としての作りをまるごと見ることができる点にあります。外部の通りからでは、わかりにくいですが、一歩邸宅の内部に入るとそこには広大な造り酒屋の姿が登場します。その巨大な酒造蔵は圧巻で、外観も美しく均整のとれた作りを目の当たりにできます。

また内部には酒を貯蔵する釜などが展示され、その雄大な生産設備は当時の豪商としての勢いを感じる作りです。ちなみに本邸は主屋、保命酒醸造蔵など9棟あり、酒造蔵と隣接する主屋は商家としての優美な作りが伺えます。

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七公卿落ちの名所。美しさと機能性に富んだ主屋

この酒造蔵と隣接する主屋は、実に美しい日本建築で、邸内には小規模な庭園が設けられ、住んでいた人々や、商家に訪れるお客の目を楽しませる作りになっています。

また、邸内から鞆の浦の海岸が見通せる作りになっており、こうした商家としての機能も充実しています。江戸時代の全盛期にはきっと数多くの人が訪れたことをうかがわせる作りで、幕末の頃には三条実美を始め、有名な七公卿落ちの宿泊場所にもなった場所です。

この七公卿落ちとは、1863年に尊皇攘夷派の公卿7名が公武合体派によって京都を終われ、長州からさらにその先、太宰府まで逃亡する事件です。討幕派のリーダー的存在であった三条実美をはじめとする7人の公卿は太宰府まで落ち延びる途中に、ここ鞆の浦に立ち寄り、中村家の主屋ととなりにある朝宗亭に宿泊しました。

ちなみに、ここ鞆の浦は、七公卿落ち以外にも幕末ゆかりのスポットとして知られ、いろは丸事件の起きた場所としても有名です。いろは丸事件は、大洲藩の船であるいろは丸を坂本龍馬が運航中、紀州藩の船と衝突して沈没した事件で、鞆の浦は、坂本龍馬の海援隊と紀州藩との談判場所にもなった場所なのです。

七公卿落ちで、三条実美などが、宿泊していた時期といろは丸事件の時期は違いますが、同じく幕末ゆかりの観光スポットとして、楽しめます。

 

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太田家住宅へのアクセス

太田家住宅は鞆の浦のシンボルとも言える常夜灯のすぐ目の前にあります。常夜灯やいろは丸展示館の一体から徒歩2分ほどのとおりにあり、そのとおり一体は、かつての江戸時代の街並みの雰囲気が残るスポットです。

鞆の浦の観光はいろは丸乗船場付近の駐車場や鞆の浦観光情報センター付近の駐車場へ停めて街歩きを始められるのがいいでしょう。ちなみに福山のホテル、カンデオホテルズ福山から鞆の浦までは車で20分ほどで行くことができます。

太田家住宅の利用案内

所在地:〒720-0201 福山市鞆町鞆842

TEL:084-982-3553

開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで)

休日:火曜日(祝日の場合は翌日)/年末年始

料金:中学生以上 400円(20名以上は320円)/小学生 200円(20名以上は160円)

駐車場:無/最寄りの有料駐車場を利用/大型バス駐車場有(無料)

太田家住宅の周辺観光スポットと回り方

太田家住宅には鞆の浦を代表するさまざまな観光スポットが登場します。冒頭でもご紹介したように、鞆の浦は太平洋戦争の空襲からも免れていることから、昔ながらの建築物なども残されています。

また、太田家住宅と同様、幕末を代表する志士、坂本龍馬ゆかりの観光スポットが多数登場します。ここでは太田家住宅とセットで回りたい、鞆の浦のおすすめ観光スポットをご紹介しましょう。

常夜燈と雁木

太田家住宅のすぐ目の前は港です。この鞆の浦の港も、現代の港ではなく江戸時代や明治時代の情緒を感じさせてくれる港です。特に昔ながらの港を彷彿とさせる存在が、常夜燈と雁木です。常夜燈は、現代でいうところの灯台で、江戸時代末期、安政6年に建てられたものです。

高さ5.5メートルで、石で作られた常夜燈は、蒸気機関による船が少なかった時代に明かりをともすことで港の場所を知らせたことでしょう。一方、常夜燈と一緒に見ることができる雁木も、昔ながらの港の雰囲気が楽しめます。

雁木とは、潮の満ち引きによって船がつけられる高さを変えられる階段状の港のことで、潮の状況によっても荷物を苦労することなく運ぶことが可能です。

いろは丸展示館

太田家住宅のすぐ近くにあるのがいろは丸展示館です。いろは丸展示館は、坂本龍馬が紀州藩と事故を起こしたいろは丸の展示館です。いろは丸は、大洲藩の船で、坂本龍馬の海援隊が、大洲藩の代わりに航海していた船です。

いろは丸では、貿易のための多数の銃器や特産品などが積み荷として載せられており、紀州藩の船明光丸との衝突で全て海に沈没してしまいました。この事故は、紀州藩側の操船経験の不足などから起こった事故として、万国公法をもとに争われました。

その場所として鞆の浦の福禅寺対潮楼が使用されたのです。結果は海援隊側の勝利で、紀州藩は賠償金を支払うことになりました。いろは丸展示館では、このいろは丸事故の詳細や、実際に積み荷として運搬され、海に沈没したものなどが展示されています。こちらも太田家住宅からすぐ近くですので、ぜひ訪れることをおススメします。

福禅寺対潮楼

太田家住宅と並ぶ、鞆の浦に残る文化財が福禅寺対潮楼です。福禅寺対潮楼は、上記でご紹介したいろは丸事件の際の談判場所としても使用された歴史がありますが、その価値は何よりも江戸時代における外交使節を迎える迎賓館としての役割にあります。

江戸幕府は海外との交流を断つ鎖国政策をしいていましたが、朝鮮とは国交が継続していました。定期的に朝鮮半島から朝鮮通信使といわれる外交使節が訪れ、江戸まで将軍に表敬訪問していたのです。そのさい、朝鮮半島から江戸までの長い道のりの宿泊施設として利用されていた一つが、福禅寺です。

いわば江戸時代の迎賓館のような役割を果たしており、その役割にふさわしい価値をもってるのです。その最大のものが福禅寺対潮楼から見える景色のことで、この座敷からは仙酔島や弁天島といった瀬戸内海の島々が織りなす美しい風景が楽しめました。

1711年(正徳元年)に訪れた朝鮮通信使の従事官である李邦彦は、この客殿からの眺望を「日東第一形勝(朝鮮より東で一番美しい景勝地という意)」と賞賛しました。そしてこの対潮楼という名前も1748年(延享5年)に訪れた朝鮮通信使である洪啓禧が名づけたのです。福禅寺対潮楼では今も変わらず当時の風景がそのままに楽しめます。

まとめ 江戸時代から残る美しさと機能を持つ商家

太田家住宅は200年近く、保命酒の独占製造販売を行ってきた商人、中村家の豪壮さを伺わせてくれる建築です。邸内の広さもさる事ながら、9つの酒蔵と主屋には、至るところで細かい配慮が伺え、美しさと機能を兼ね備えた江戸時代の建築が伺えます。

現在のようにデジタル化や自動化もない時代に、これほど直線的で均整のとれた建築物を作れることに感動を覚えるでしょう。またその建築物が数百年の時を経て、目の当たりに残っていることが大変な価値を感じさせてくれます。鞆の浦にはこうした古くからの歴史をそのまま残しており、太田家住宅もそんな観光スポットの一つだと言えるでしょう。是非オススメのスポットです。

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