適塾。緒方洪庵と幕末で活躍した人物たちの軌跡

適塾。今も残る大阪大学医学部の源流

幕末から明治時代にかけて、日本の近代化の一つのカギとなった存在が蘭学です。江戸時代、日本は江戸幕府の方針として諸外国との交わりを断つ鎖国政策を行ってきました。これは海外から新しい文物や技術が流入することを避け、諸大名の独自の活動を阻むことを目的としたり、貿易政策の観点からとられていましたが、わずかに数カ国との交易は許されていました。

朝鮮や中国といったアジアの国は許されていましたが、西洋で唯一許されていた存在がオランダです。そのためヨーロッパの技術や、文物も江戸時代にはオランダから伝わったものをベースに研究がされていたのです。

本日ご紹介する適塾は、そんな蘭学、おもに医学を学ぶために設けられた私塾です。現在の大阪大学医学部や慶應義塾大学医学部の源流にもなった存在で、幕末には多くの著名な人物を輩出しました。そんな適塾は今も大阪の地にそのまま残されているのです。

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 門下生は3000人。幕末や明治の偉人を多数輩出

適塾は蘭学の大家とされた緒方洪庵が開設した私塾です。適塾の開設されていた期間は、わずか30年間ですが、実は、適塾の流れはそのまま大阪大学医学部に引き継がれ、更には、その門下生である福沢諭吉によって慶應義塾大学に引き継がれたとも言えます。

また大学だけではなく、適塾からは明治日本の近代化を支える多くの人材を輩出しました。最も有名な人物として、上記であげた福沢諭吉をはじめ、日本の近代兵制を築いた大村益次郎、日本赤十字社を作った佐野恒民、安政の大獄で刑死した橋本佐内、漫画家手塚治虫の曽祖父である手塚良仙など、数多くの人物が適塾で学んだのです。

その門下生は3000人以上にも上ったと言われています。

 

 適塾の見所。日本で唯一残る蘭学塾

適塾はこのように門下生3000人も誇った江戸時代を代表する私塾です。江戸時代の学校制度は、官製、すなわち藩が運営する学校である藩校以外は、全て私塾でした。基本的には藩校はその藩の藩士を教育するための教育機関で、その藩の藩士しか入ることが出来ません。

一方、私塾は、藩校とは違いもっと自由で、誰でも入門することが可能で、江戸時代後期には多くの私塾が登場しました。適塾はその中でも最大のものですが、他にも有名な吉田松陰の松下村塾や、来日したシーボルトの鳴滝塾など、教える内容も様々で、蘭学から国学、漢学まで多種多様に及びました。

今では私立大学のトップクラスである慶應義塾ももともと福沢諭吉が開設した私塾から発展したものになります。適塾の見所は、こうした江戸時代に主要な教育機関であった私塾の最大のものを目の当たりに見学できる点にあります。特に

現存するわが国唯一の蘭学塾として、日本と西洋技術が交わった象徴的な場所と言えるでしょう。

 

当時の学生の勉強ぶりがわかる塾生の大部屋

そんな幕末や明治時代に活躍した著名人たちも、適塾で学んでいた時期は、一介の書生として、寝る間も惜しんで勉学に励んだ苦学生だったと言われています。適塾に入門すると塾生にはまず初めに2回の大広間の塾生部屋のうち、畳一枚が与えられ、その畳一枚で寝起きし、勉強したと言われています。

月に6回ほど会読といわれる今でいう試験のようなものがあり、その会読の成績によって畳の場所が変わり、成績の良い塾生にはいい場所が与えられ、成績が下がった塾生には悪い場所が与えられるという仕組みでした。この会読の前になると、塾生たちが1冊のヅーフといわれる蘭和辞典の部屋に詰めかけ一心不乱に勉強したと言われています。

この模様は門下生である大村益次郎を題材にした司馬遼太郎の小説『花神』にも描かれており、福沢諭吉などは、畳のあるその場所で勉強し、眠くなるとその場で眠り、起きるとすぐさま勉強を始めたほどの猛勉強ぶりだったと言われています。

また、その一方で、適塾に集まる当時の学生たちは、血気盛んだったらしく、刀の切れ味を試すために柱に切りつけるなどその跡も残されています。

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ヅーフ部屋。蘭和辞典の部屋

先にご紹介しましたが、当時日本は鎖国し西洋の文物はオランダから伝えられるわずかなものを頼りに、人づてで伝えられました。現代のように情報の伝達スピードが、人の動くスピードと同じレベルであったため、医学書や辞書なども数が限定され、大変貴重なモノでした。

適塾でもオランダ語を勉強するための辞書は1冊しかなく、その1冊の辞書を頼りに学生たちは勉学したと言われています。この蘭和辞典はヅーフといわれ、専用の部屋が設けられ、塾生たちが押し掛けたと言われています。そんな江戸時代の蘭学塾の姿も見れるのが適塾の特長です。

 

大阪の貴重な町屋の姿も見所

適塾は塾生たちが住みながら勉強する私塾としての顔もありますが、その一方で、緒方洪庵とその家族が生活する町屋としての姿も残されています。建物の敷地は間口約12メートル、奥行き40メートルもある大きなもので、教室に使用された表屋が前方にあり、緒方洪庵とその家族の住居部屋は後方部にあります。

もともとは商家としての造りでしたが、緒方洪庵が入居するにおよび改造され、更にはその後の拡張工事などを経て現在の姿に至ります。こうした江戸時代の町屋ならではの造りを目の当たりにできるのも適塾の魅力の一つです。

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適塾周辺のおすすめ観光スポット

適塾は当時天下の台所の象徴ともいわれた中之島のすぐ近くにあります。そのため、中之島までは徒歩3分ほどの場所にあり、中之島の有名な観光スポットを一緒に回ることが出来ます。ここでは適塾周辺の代表的な観光スポットをいくつかご紹介しましょう。

 

大阪市中央公会堂

適塾から徒歩3分ほどの中之島にある観光スポットが大阪市中央公会堂です。大阪市中央公会堂は、国の重要文化財に登録されている赤煉瓦の建物で、中之島を代表する建築物です。建てられたのは今から100年昔の1918年で、ネオルネッサンス様式の建物として、近代日本を象徴する姿を目の当たりにできます。

実はこの大阪市中央公会堂では、各種の講演や会合などが多数行われる場所でしたが、有名なアインシュタインやヘレンケラー、ガガーリンなど歴史的な有名人物の講演も行われたことがあるのです。現在は日本の近代建築を象徴する建物として国の重要文化財に登録され、夜にはラインとアップやプロジェクションマッピングが行われるなど、イベントスポットとしても注目される存在です。

こちらは適塾からわずか3分ほどなので、ぜひ見ておきたい観光スポットです。

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大阪府立中之島図書館

大阪市中央公会堂の隣にある建物が大阪府立中之島図書館です。大阪府立中之島図書館も、同じく国の重要文化財に登録される貴重な存在です。こちらもオープンしたのは今から100年以上昔、1904年に開館しました。今も現役の図書館として利用が可能で、文化財としても、図書館としても利用が可能です。

こちらの建物はネオバロック様式で建てられており、左右の両翼が特長的な建物です。外観もそうですが内部も非常にかつある建物で、特に普段見ることが出来ない書庫には大阪府立中之島図書館の歴史や古くからの資料が多数存在しており、書庫見学ツアーなども申し込みをすれば見ることが出来ます。

お隣の大阪市立中央公会堂とセットで見ることをおススメします。

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中之島散策

上記の2カ所は中之島を代表する2つの歴史的建造物ですが、それ以外にも中之島は楽しむことが出来ます。中之島は川に面した中洲をもとに作られたエリアで、江戸時代から諸藩の蔵屋敷が集まる商人の町として、現代でもビジネスの町として知られていました。

しかし最近では、中之島図書館や中央公会堂が重要文化財に登録されたり、川沿いのエリアが公園として整備されるにおよび、文化や芸術の発信拠点としても知られるようになってきました。

大阪市立科学館や、国立国際美術館、更にはバラ園や大阪大学医学部附属病院跡地の再開発計画としてスタートしたほたるまちなど、文化、芸術、カフェレストラン、公園などが集約する一大観光スポットに変化しつつあるのです。適塾はそんな中之島の目の前にあるということから、中之島散策の一スポットとして訪れてみてもいいでしょう。

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 大阪城水上バスの周遊スポットとして

適塾が中之島の目の前にあることはご紹介しましたが、もっとこのあたりを楽しむなら、大阪城水上バスとセットで利用されるといいでしょう。大阪城水上バスは、大阪城公園から発着している水上バスツアーで、大阪城からスタートし中之島を巡るツアーです。

この水上バスツアーは中之島を巡って戻るおよそ1時間ほどのツアーですが、途中の乗船場で降りることも可能です。適塾からすぐの淀屋橋の乗船場で降りれば、そのまま適塾や中之島の周遊に簡単にアクセスすることが出来ます。

例えば、大阪城を見学した後に、水上バスツアーを巡れば大阪城から中之島、適塾といった充実した観光ルートを楽しむことが可能です。

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大阪企業家ミュージアム

中之島とは反対方向にあり、適塾からは徒歩15分ほど車で5分ほどの場所にあるのが大阪企業家ミュージアムです。大阪は、パナソニックの創業者である松下幸之助や、サントリーの創業者である鳥井信治郎、ダイエーの創業者である中内功など、多くの起業家を輩出した地でもあるのです。

江戸時代から商人の町といわれ、現代の日本を代表する企業の多くが、ここ大阪から生まれました。そんな数多くの企業家たちの展示が楽しめるのが大阪企業家ミュージアムです。こちらもおすすめの観光スポットです。

 

まとめ

適塾は、日本の歴史を作った、数多くの歴史上の人物を輩出した貴重な歴史的スポットです。またその教育機関としての流れは、大阪大学や慶應義塾に受け継がれ、現代でも多くの学生がそこで学んでいます。

また江戸時代の町屋という貴重な姿や当時の塾生たちが過ごした部屋や建物が目の当たりにできるのも貴重です。ぜひ周辺の中之島観光などと合わせて訪れてみてはいかがでしょうか。

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