千畳閣と五重塔。宮島の豊国神社

千畳閣と五重塔。宮島を代表する観光スポットの一つ

世界遺産である厳島神社がある宮島には、厳島神社以外にも多数の見所スポットが登場します。その中でも今回ご紹介する観光スポットが千畳閣と五重塔です。この二つの建造物は、現在、豊国神社として宮島を代表する観光スポットになっています。

豊国神社とは豊臣秀吉を祀っている神社のことで、京都の豊国神社や大阪城公園の豊国神社など、日本の至るところに存在します。これは豊臣秀吉ゆかりの場所で建設されており、今回ご紹介する千畳閣も秀吉ゆかりの歴史的建造物なのです。

千畳閣は豊臣秀吉が建設を行った建物で厳島神社の末社にもなっている建物です。一方五重塔は、室町時代である1407年に建てられた建築物で、こちらも千畳閣と共に見応えがあります。広島 観光スポット 宮島 千畳閣

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千畳閣とは

千畳閣がなぜ豊国神社として豊臣秀吉を祀っているかというと、建設を行ったのが秀吉だからです。豊臣秀吉は、その生涯で、大阪城や朝鮮出兵の拠点として築いた名護屋城、備中高松城の水攻め、など、数々の巨大な建築物を作りました。そんな建築好き、土木好きな秀吉が手掛けたお寺がこの千畳閣なのです。

その名前の通り、畳千畳もある巨大な大きさから“千畳閣”といわれ、桁行13間約24m 梁間8間約15mの巨大な大きさを誇ります。畳の実際の数は、857畳とのこと。単層本瓦葺入母屋で木造の大経堂を見ることができます。この千畳閣は、豊臣秀吉が戦いで亡くなった戦没者を弔うためにこの地に建設をめいじたもので、建設が始まったのは天正15年、1587年という戦国時代の後期です。

ちなみに天正15年といえば、織田信長が本能寺の変でなくなってからわずか5年、前年の1586年には九州征伐も完了し、最大の敵であった徳川家康も臣従させ、天下統一のめどが立った時代でした。こうした平和の時代を迎える象徴として建設を命じられたのが千畳閣なのです。

実際に建設を命じられたのは毛利家の外交僧として、秀吉とも懇意であった安国寺恵瓊です。安国寺恵瓊は僧であると同時に、豊臣政権の元では、伊予で6万石の所領を持つ大名としての待遇を得ていた人物です。この安国寺恵瓊が中心で千畳閣を作り始めましたが、その後秀吉の死と共に工事は中断、その途中の姿のまま現代にまで残されているのです。

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千畳閣の見所。巨大な未完成の建築物

千畳閣の最大の見所は、未完成のまま残る巨大な建築物です。千畳という名の通り、畳857畳分の広い大経堂です。前述した通り、豊臣秀吉の死によって工事が中断されたため、その姿は、御神座の上以外は天井が張られておらず、板壁もない吹き曝しの状態です。

しかしその一方で、板壁が無い姿はまるで舞台のような雰囲気を漂わせており、江戸時代ではここで歌舞伎が行われたり、地元の人々の催しものの場として利用されていたそうです。また、夏の暑い季節には納涼の場所としても重宝されたとのこと。

こうした仏教建築らしくない利用のされ方は、まさににぎやかなことが大好きであった豊臣秀吉っぽい使われ方かと思われます。この千畳閣では、内部の大きな柱に当時ここで演じた歌舞伎役者一行の名前や川柳などが記されており、見ることができます。

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五重塔

千畳閣の隣にある建物が五重塔です。この五重塔も豊国神社として見ることができます。千畳閣が建てられたのが天正年間という戦国時代の真っただ中ですがこちらの五重塔は、応永4年1407年で、ちょうど室町時代の三代将軍足利義満の時代です。

この五重塔も桧皮葺で和様・唐様が融合した美しい姿を見ることができます。先の千畳閣とともに厳島神社の末社としてその景観の一風景を構成しています。この五重塔ですが、厳島合戦の際に、陶晴賢が本陣を構えた場所としても知られています。

厳島合戦は毛利元就と大内氏を率いた陶晴賢の戦いで、同じく宮島にある宮野尾城を落とすため陶晴賢は2万の大軍を率いて厳島に上陸したのです。そのさい本陣を構えたのがこの五重塔付近で、そこから宮野尾城に対して激しい攻撃を加えました。

厳島の戦いでは、火が厳島神社の境内に燃え移りそうになったところ、両軍、戦闘をいったん中止して消火活動に勤めたとのことです。ちなみに陶晴賢はその後毛利家の奇襲にあい、船を探したが逃げ遅れ自刃しました。その時の辞世の句が「何を惜しみ 何を恨みん 元よりも この有様に 定まれる身に」とのこと。

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大願寺

これまでご紹介した千畳閣と五重塔ですが、もともとは大願寺に所属していました。日本では明治時代に神仏分離令が出されるまでは、神仏習合といって神様と仏様が一緒に祀られていました。この大願寺ももともとは厳島神社と一緒に祀られる存在で、千畳閣と五重塔も大願寺が管理していたのです。

こちらの大願寺も一緒に回ると言いでしょう。こちらでは、日本最古とされる木造薬師如来像や、千畳閣に本尊として祀られていた木造釈迦如来坐像、脇侍の阿難尊者像と迦葉尊者像、(いずれも重要文化財)更に五重塔の本尊として祀られていた釈迦如来坐像・脇侍の文殊菩薩と普賢菩薩の三尊像、多宝塔の本尊だった薬師如来像、などが祭られています。

 

千畳閣と五重塔へのアクセス

千畳閣と五重塔ですが、宮島の中心である厳島神社の裏に位置しています。宮島へは宮島フェリー乗り場から10分ほど乗船し、行くことができます。乗船後は、厳島神社に向かって表参道を歩き、厳島神社の境内を通って、その後ろの道を通ると千畳閣と五重塔へアクセスすることが出来ます。

まず初めに登場するのが五重塔で、千畳閣は小高い山の上にあります。是非厳島神社とセットで訪れることをおススメします。

 

千畳閣と五重塔の利用案内

所在地:広島県廿日市市宮島町1-1

昇殿料/大人100円 高校生100円 小・中学生50円

昇殿時間/8:30~16:00

年中無休

千畳閣と五重塔の周辺観光スポット

千畳閣と五重塔は、厳島神社の末社として、その風景の一部として存在し、インパクトがある姿がたのしめます。また同時にその周辺には、宮島を代表する観光スポットである厳島神社をはじめ、さまざまな観光スポットが登場します。

ここでは合わせて回りたい代表的な観光スポットとして厳島神社と清盛神社をご紹介します。

 

厳島神社。千畳閣と五重塔の本社

千畳閣と五重塔の本社として、宮島観光の中心的存在が厳島神社です。また世界遺産にも登録されており、海にそびえたつ朱塗りの鳥居と境内の姿は、日本国内だけではなく海外からも多くの観光客が押し寄せます。更に、厳島神社は千畳閣と五重塔へ向かう観光ルートの途中に位置することから、第一に訪れるべき観光スポットと言えるでしょう。

その創建は古く推古天皇の時代にさかのぼりますが、国宝になっている有名な境内などは平清盛が築きました。平清盛は、日本で最初の武士による政権ともいえる存在を立ち上げた人物で、太政大臣にまで登りました。桓武平氏の棟梁である平忠盛の長男として生まれ、朝廷内の内紛に乗じてその勢力を拡大し、ライバルであった源氏を倒し、保元の乱と平治の乱という二つの乱で、平氏の勢力基盤を確固たるものにしました。

平氏の政権では、日本全国に500余りの荘園を保有し、更には日宋貿易によって莫大な財貨を手にしたと言われています。もともと平氏は清盛の父、忠盛の時代から西国に勢力基盤を持ち、清盛も父忠盛のもとで現在の広島県の国主である安芸守に任じられるなど、馴染み深いものでした。

清盛と厳島神社の関係はそのころにさかのぼるもので、日宋貿易の航海の安全を祈願するために作り上げたのが厳島神社の境内です。厳島神社の最大の見所は、国宝にも登録されている本社本殿、幣殿、拝殿、回廊、重要文化財でもある大鳥居などです。

またこのあたり一帯は国の名勝にも登録されており、参道から眺めるその姿は、海辺に作られた境内や鳥居、背後にそびえたつ千畳閣や五重塔と共に見るものに忘れられないインパクトを与えてくれることでしょう。

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清盛神社

厳島神社の境内を抜けると左手に道が、右手には白い砂浜の中洲のような一体が登場します。左手の道を進めば千畳閣や五重塔が登場する道や宮島水族館につながる道に続きますが、一方で砂浜の方に進むと登場するのが清盛神社です。

清盛神社はその名前の通り厳島神社の境内を作った平清盛を祀った神社で、昭和29年に作られました。この砂浜の一体は江戸時代から徐々に伸びていった砂浜で「西の松原」と呼ばれる築出し(突堤)といわれる部分です。清盛神社は平清盛が没してから没後770年を記念して作られた神社で、厳島神社とセットで見ることができます。

厳島神社の項目でもご紹介しましたが、平清盛は日宋貿易の繁栄によって経済基盤を整えた人物です。そして日宋貿易を行うのにあたってさまざまなことを行いました。そのうちの第一が航路お開拓です。中国から船で、都まで来るには当時瀬戸内海を航海してきましたが、平清盛は音戸の瀬戸といわれる航路を開くことに成功しました。

また、現在も貿易港として知られる神戸に目をつけ、当時福原といわれたその場所へ遷都も考えた人物です。これほど日宋貿易を国の柱として考えていた清盛にとって、航海の安全は何よりも最重要事項だったのです。

そしてその航海の安全を祈願するために作られたのが厳島神社だったのです。清盛神社はそんな平清盛と厳島神社ゆかりの観光スポットといえるでしょう。

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まとめ

今回ご紹介した千畳閣と五重塔はいずれも重要文化財に登録されている歴史的建造物です。また両方とも厳島神社の末社である豊国神社として、一見の価値がある観光スポットです。

余談ですが、厳島神社の本殿を作った平清盛も、千畳閣を作った豊臣秀吉も、両者とも国の経済を米ではなく銭に置いていたところが共通点であり、どこなく千畳閣も神社仏閣にあるような荘厳な雰囲気とは違い、巨大な建築のなかにもにぎやかな親しみやすい雰囲気があるのが特長的です。

是非宮島観光の見所として訪れてみてはいかがでしょうか。