西大寺。道鏡ゆかりのお寺

西大寺。南都七大寺の一つ

奈良県は、日本の仏教発祥の地として、一大中心地であったことから、数々のお寺が登場します。その存在は、南都北嶺という言葉に象徴されるように、過去には大和一国に絶大な権力を誇っていました。

そのお寺は南都七大寺と言われ、東大寺や興福寺を筆頭に、薬師寺、元興寺、大安寺、法隆寺、西大寺と、いずれも広大な伽藍を誇り、権勢をふるいました。そして、その全てが、現在でも奈良の貴重な文化財がある観光スポットとして存在するのです。

中でも本日は、西大寺をご紹介します。西大寺は、奈良時代には壮大な伽藍を誇りましたが、平安時代に衰退し、鎌倉時代に再興されたお寺です。現在も美しい境内の内部には重要文化財の本堂や、多数の国宝を所蔵するお寺として有名です。

奈良 観光スポット 西大寺

東大寺と対する巨大なお寺。道鏡ゆかりの地

西大寺が作られたのは西暦765年、孝謙上皇の時代だと言われています。興福寺で修行した僧、常謄が開山し建立したと言われています。冒頭でご紹介したように奈良のお寺は南都七大寺と言われるように、興福寺を中心に朝廷の保護を受け大和一国を支配していました。

西大寺はその中の一つのお寺として、広大な伽藍をもっていたとされています。現在奈良のお寺で最も有名で、巨大な姿を見せてくれるのが東大寺ですが、西大寺は、その名前からもわかるように、もともと東大寺と対する存在として作られたのです。

奈良時代には薬師金堂、弥勒金堂、四王堂、十一面堂、東西の五重塔を備える広大な伽藍で、多数の仏像が配置されていたとされます。その後、天災地変によって荒廃し、興福寺の傘下に入りました。その後鎌倉時代に叡尊によって復興されますが、室町時代の兵火や戦国時代の火災などによって再び焼け落ち、荒廃してしまします。

現在の境内は、かつての巨大な伽藍ではありませんが、本堂をはじめ、愛染堂、四王堂、聚宝館(宝物館)などが建ち並び、境内は国の史跡に登録されています。また、国宝級の文化財が多数収められており、絹本著色十二天像や木造叡尊坐像などが存在します。

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道鏡と孝謙天皇ゆかりのお寺

西大寺が東大寺の対抗として建てられた背景には、時の権力者である道鏡の存在と孝謙天皇が大きいと言われています。当時、国を治める柱として日本全国に急速に普及したのが仏教ですが、その中心として存在したお寺が東大寺です。

東大寺は巨大な大仏殿と、廬舎那仏でもわかる通り、仏教の存在を圧倒的なものとして印象付ける巨大なインパクトがありました。また同時に、それを建立した聖武天皇の業績の象徴ともいえる存在です。

道鏡は、時の権力者になると同時に、自らの権勢の象徴として、東大寺に対抗する形で西大寺を建立したとも考えられています。また西大寺の創建が決まった時期には、道鏡と対抗していた権力者である藤原氏の藤原仲麻呂が乱をおこし滅ぼされた時期になります。

それによって区画された西大寺は、当時の興福寺をしのぐ広さを誇ったと言われています。

 

西大寺の見所

国の史跡に登録され、重要文化財の本堂や多数の国宝を所蔵する西大寺の見所をご紹介しましょう。現在の西大寺の境内には、本堂、愛染堂、四王堂、聚宝館(宝物館)などが建ちならびます。

またかつては東塔と西塔の二つの五重塔が存在し、この跡などが残されています。境内は整備されており、非常に美しい落ち着いた雰囲気が味わえます。

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重要文化財の本堂

西大寺の見所の一つが重要文化財に登録されている本堂です。この本堂は、江戸時代後期である1808年に再建されたものです。その特長は土壁を全く用いないで作られた伝統的な様式の建築です。

寄棟造、本瓦葺で作られたもので、西大寺の本堂はそのほかの伽藍と共に、室町時代の兵火によって焼失してしまっているため、江戸時代に新築されたものになります。

この本堂には同じく重要文化財である釈迦如来立像、文殊菩薩及び脇侍像5体がおさめられています。

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愛染堂。京都御所御殿を移築

西大寺には愛染堂があります。この愛染堂とは、愛染明王を祀るお堂で、江戸時代である1762年に京都御所から移築されました。京都御所は明治時代になるまで歴代の天皇陛下がいた内裏といわれる場所で、この愛染堂はもともと京都御所の近衛公政所御殿だったのです。

こちらにおさめられている愛染明王の像は、重要文化財であり、鎌倉時代の仏師である善慶が作ったものとされており、数ある愛染明王の代表作ともいわれているのです。

また、この愛染堂には、国宝に指定されている叡尊の坐像がおさめられています。叡尊は、先にご紹介しましたが、荒廃していた西大寺を復興させた鎌倉時代の僧です。

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東塔跡。かつての巨大な伽藍の跡

西大寺の本堂の前には、巨大な東塔の跡があります。西大寺は、時の権力者道鏡が東大寺に並び立つお寺として作ったことから、巨大な五重塔が二つ作られました。

東塔と西塔がそれですが、いずれも兵火や荒廃などによって残されていません。この跡地が見ることが出来るのです。また、もともとこの東塔と西塔は五重塔を超える八角七重塔として計画されており、その稀有の大きさがしのばれます。

これは発掘調査によって八角にする礎石が見つかったことからそのように予想されています。結局四角五重塔として創建されますが、平安時代の雷、その後の兵火で焼失し現在は跡のみが残っています。

 

多数の国宝、重要文化財

西大寺には、建物以外に、多数の文化財が残されています。その多くが、国宝や重要文化財に登録されています。例えば、9世紀の絵画として貴重な絹本著色十二天像があります。

この文化財は、現在奈良国立博物館に6幅、東京と京都の国立博物館に3幅ずつ寄託されています。更に鎌倉時代の金属加工の技術が注目される金銅透彫舎利塔も国宝です。

更に、国宝として、金銅宝塔及び納置品、舎利瓶5具・鉄宝塔1基、金光明最勝王経など天平時代から鎌倉時代にかけての文化財が所蔵されているのです。

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西大寺へのアクセス

西大寺は、その成り立ちの通り、平城京の西に位置しています。東大寺が東、西大寺が西という位置関係の通りで、平城京跡からは車で約10分ほど、東大寺までは20分ほど離れた場所にあります。また奈良観光の基点となる奈良駅からは車で15分ほどの場所にあります。

西大寺へのアクセスは車で行く方法と電車で行く方法があります。電車の場合は、近鉄大和西大寺駅から徒歩5分ほどの場所にあります。

カンデオホテルズ奈良橿原からは車で40分ほど、電車では、近鉄特急で30分ほどで行くことが可能です。この西大寺の周辺には唐招提寺や法華寺など、奈良を代表する観光スポットが登場するのでセットで回られることをおススメします。

西大寺の利用案内

住所:〒631-0825 奈良県奈良市西大寺芝町1-1-5

電話番号:0742-45-4700

最寄り駅:大和西大寺駅から徒歩約5分

営業時間:通年 8:30~16:30

料金:本堂・愛染堂・四王堂・聚宝館の四堂で一人1,000円、聚宝館を除く三堂の場合は一人800円、

本堂のみ一般400円、高校生・中学生350円小学生200円

愛染堂・四王堂・聚宝館、単品で一般300円、小学生200円

 

西大寺とセットで回りたい周辺観光スポット

西大寺は平城京の西部にありますが、その周辺にはセットで回りたいおススメ観光スポットが登場します。ここではその代表的な存在として、平城京跡歴史公園と唐招提寺をご紹介します。

 

平城京跡歴史公園

西大寺から車で10分ほどの場所にあるのが平城京歴史公園です。平城京は、かつての都であり、奈良時代の象徴ともいえる場所です。710年に藤原京から遷都されて以来、810年の平安京への遷都まで、移る時もありましたが日本の首都として存在した場所です。

その広さは近年の発掘調査によって明らかになり、東西約4.3km、南北約4.8kmといわれる巨大な区画のなかに、宮殿や庁舎などがありおよそ10万人以上もの人々が暮らしていたと言われています。

またメインストリートである朱雀大路はなんど道路の幅が約74mにも及ぶ巨大なもので、多くの人が行き来する場所でした。そんな平城京の発掘から作り出されたのが平城京跡歴史公園です。

ここでは巨大な朱雀大路から、朱雀門広場、第一次大極殿などが再び作られています。現在は、朱雀門までのほんの一部に、展示館やお土産、カフェレストランなどが作られていますが、大極殿などは再建されつつあり、将来的には巨大な平城京跡が公園として復活するかもしれません。

こちらは奈良観光の一大スポットとして是非おススメの場所です。古代の都の圧倒的な迫力を感じられることでしょう。

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唐招提寺。鑑真ゆかりの世界遺産

西大寺から同じく車で10分ほど行った場所にあるのが、世界遺産に登録されている唐招提寺です。唐招提寺は、日本に来日し仏教の僧を養成する制度を作った鑑真ゆかりのお寺です。作られたのは山から遡ること1200年以上も昔の759年で、金堂や講堂などの建物が創建当初のまま整備されてのこされています。

数々の建物が国宝に指定されており、奈良の世界遺産を代表する観光スポットの一つと言えるでしょう。この唐招提寺は鑑真が晩年を過ごしたお寺として知られます。鑑真は僧に戒律を授けるための制度を整えた人物であり、「導師」として日本に来日されました。

僧は戒壇院といわれる場所で修行し、戒律を授けられます。この戒壇院がある場所は日本全国に三カ所設けられ、西国では大宰府にある観世音寺の戒壇院、東国では栃木の下薬師寺、そして中央では東大寺の戒壇院がその場所になります。

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まとめ

西大寺は、東大寺と対する巨大なお寺として孝謙天皇と道鏡によって作られたお寺です。現在の本堂や愛染堂はのちに再建されたものですが、境内には落ち着いた雰囲気が漂い、南都七大寺の一つとして、おススメの観光スポットです。

また周辺の平城京跡歴史公園や世界遺産である唐招提寺とセットで見てもより一層観光が充実したものになることでしょう。