萬翠荘。松山城下に残る久松家ゆかりの迎賓館

萬翠荘とは。松山藩主ゆかりの邸宅

愛媛県松山市は、道後温泉など日本を有数の観光地として知られています。そしてその象徴ともいえる存在が松山城です。松山城は、江戸時代を通じて久松家が大名として統治していました。久松家は徳川家康の異母弟の家系を持つ大名家で、江戸時代には老中を輩出した家柄としても知られています。

また明治時代には久松家の当主である久松定謨自らが陸軍に入るなど、華族・軍人としても活躍しました。そんな久松定謨が建てたフランス風の洋館が萬翠荘です。萬翠荘は、松山の中心地でもある大街道にある建物で、明治時代に作られた美しい洋館としてその姿を見ることができます。

国の重要文化財にも登録されており、他では見ることが出来ない大理石とステンドグラスで飾られた美しい建築が楽しめます。この萬翠荘のすぐ隣には司馬遼太郎の小説で有名な坂の上の雲ミュージアムがあり、一緒に見ることができる有名スポットです。

のちにご紹介しますが、司馬遼太郎の小説坂の上の雲は、松山藩士であった秋山好古と秋山真之兄弟の物語で、兄の秋山好古は日本騎兵の権威として、久松定謨がフランスに留学した際にも付き従った経緯があるのです。そんな松山藩と明治時代ゆかりの萬翠荘をご紹介します。

萬翠荘

萬翠荘を建てた久松定謨とは

萬翠荘は、1922年大正11年に、旧松山藩主である久松定謨伯爵の別邸として建てました。久松定謨は伯爵であると同時に陸軍中将として活躍した軍人であり、明治16年にはフランスにも留学した人物です。伊予松山藩久松家は、江戸時代には徳川家の親藩の大名家として老中をも輩出する家系でした。

その後明治維新によって薩長が権力を握ると、佐幕側の藩として、その藩士たちは新たな活躍の場を求めて陸軍や海軍に入るケースが多かったのです。久松定謨は大名の出身ながら自ら陸軍に入り、フランスのサンシール陸軍学校にも入学し、卒業、大日本帝国陸軍歩兵少尉として任官しました。

その後順調に出世し、最後は陸軍中将にまでなった人物です。因みにフランスのサンシール陸軍学校の入学した際には、久松家の足軽出身で、陸軍に先に入っていた秋山好古が付き従いました。萬翠荘は、久松定謨が陸軍を予備役に入った後に別荘として建設したものです。

松山藩の象徴ともいえる松山城の麓に建てられた萬翠荘は、総面積428.78平方メートルの広さを持つ洋館で、地下1階、地上2階の建物です。久松定謨はフランスの学校を卒業しただけではなく私費留学でフランス陸軍に勤務していたこともあり、長年の生活からフランス風の建物に親近感や懐かしみがあったのかもしれません。

実際、フランス風の建物は、社交の場として利用され、のちの昭和天皇である裕仁親王が訪問される際にも立ち寄ったと言われています。

萬翠荘

重要文化財です

萬翠荘

自然に囲まれています

萬翠荘の見所

萬翠荘はフランス・ルネッサンス風の洋館として多数の見所が存在します。設計は建築家の木子七郎によって手掛けられました。この木子七郎は、明治時代の建築家として、とりわけ官公庁の建築物を多く手掛けた人物として知られています。特に木子七郎は愛媛県に多くの建築物を残しました。

例えば萬翠荘以外には愛媛県庁舎や新潟県庁舎などを手がけました。愛媛県庁もどことなく萬翠荘と似ているデザインで、洋館石造りの欧化政策を取る明治・大正の情緒がたっぷりと出ている建物としてすぐ近くで見れます。このように萬翠荘は当時フランス陸軍に長年留学していた久松定謨伯爵好みの最高の洋館として楽しめます。また、萬翠荘は外観だけではなく内装も当時のままの姿を見せてくれます。

萬翠荘

大正時代の洋館がそのまま残ります

フランス風の外観と見所満載の内部

萬翠荘は約100年近く前の建物ながらも今も当時と変わらない姿を残しています。フランス風の建築物ですが、松山で最も古い鉄筋コンクリートの建築物です。見所は外観だけではなく内部のこだわりも見ることができる点です。

内部では大正時代の洋風迎賓館そのままのインテリアが残されており、文明開化や欧風文化が全盛期であった大正ロマンの社交場の雰囲気がまのあたりにできるのです。皇族の社交場としても利用されるほどで、皇太子時代の昭和天皇が完成直後に訪れ、朝食を召し上がられた部屋などもそのままの形で公開されています。

現在は地上2階建てのさまざまな場所を見学可能で、貴賓室や洋室、そこでは大理石で作られた暖炉や水晶のシャンデリア、圧巻のステンドグラスなど、大正ロマンの情緒がたっぷりの建築物が堪能できるのです。現在この建物の中では本館と管理人舎の2棟の建物が国の重要文化財に指定されています。

この建物は一般公開を行っており、入場料を払えば内部を見学することができます。また萬翠荘ではイベントや展示場としても利用が可能でさまざまな展示などで利用ができるのです。

ただし、利用はなんでもいいというわけではなく、貸館については文化推進に関するものであれば利用が可能で、絵画展や陶芸展、音楽のコンサートなどで盛んに利用されています。

萬翠荘

内部も大正時代そのもので残されています

萬翠荘

美しいヨーロッパ調の部屋です

萬翠荘

廊下のカーペットも雰囲気がたっぷり

愚陀仏庵があった場所でも

萬翠荘は建物そのものが観光スポットとして楽しめますが、かつてここには愚陀仏庵も展示されていまし。ただし、現在は2010年の大雨の影響で全壊してしまったため、道後温泉そばの子規記念博物館で1階のみ見ることが可能です。

この愚陀仏庵とは文豪としてしられる夏目漱石と明治時代の俳人として有名な正岡子規が松山で一緒に下宿していた木造二階建ての建物です。正岡子規の正岡家はもともと久松家の家臣でした。

一方夏目漱石は英語教師として松山中学に赴任しており、仲が良かった両人は一緒に住んでいた時期があります。この愚陀仏庵は一時空襲で焼失していたのですが、1982年に復元され、この萬翠荘に建てられていました。

萬翠荘

外の庭園テラスも綺麗です

萬翠荘へのアクセス

萬翠荘は、路面電車の大街道駅からすぐの場所、徒歩3分ほどの距離にあります。国道11号からちょっと入った場所で路地の入口には坂の上の雲ミュージアムの看板が。萬翠荘に入る手前には坂の上の雲ミュージアムがあるので一緒に見学するのがオススメです。今年の8月にラフォーレ原宿松山跡にオープンするカンデオホテルズ松山からもすぐなので、是非訪れてみてはいかがでしょうか。

萬翠荘はこちらです

萬翠荘の利用案内

電話番号:089-921-3711
FAX番号:089-921-2400
開館時間:9時~18時 ※イベントにより変更となる場合あり
休館日:月曜日(祝日の場合は開館)
駐車場:約20台
観覧料:外観・1階は、無料、2階企画展は大人300円、小人、小中学生・高校生100円、未就学児 無料
所在地:〒790-0001 愛媛県松山市一番町3-3-7

萬翠荘と一緒に見たいおススメスポット

萬翠荘のすぐ近くには隣に坂の上の雲ミュージアム、裏手に巨大な松山城があり、松山観光の主要部にあることがうかがえます。ここでは一緒に観光したい坂の上の雲ミュージアムをご紹介します。

坂の上の雲ミュージアム

萬翠荘のすぐ隣にある観光スポットが坂の上の雲ミュージアムです。坂の上の雲ミュージアムとは、歴史小説「坂の上の雲」を題材にした一大博物館です。坂の上の雲は司馬遼太郎がえがいた長編歴史小説で、ここ松山を舞台にした3人の人物、正岡子規と秋山兄弟を中心に近代化を遂げた明治日本と日露戦争までの期間を書いた小説です。

正岡子規も秋山兄弟の家系も共に幕末までは久松家の家臣として知られ、明治政府の時代に秋山兄弟は軍人になり、正岡子規は俳人として活躍した人物です。坂の上の雲ミュージアムはそんな明治時代の日本と坂の上の雲の時代がわかる展示が楽しめます。

また坂の上の雲ミュージアムの最大の特長は建築物としてのつくりです。有名な安藤忠雄が手掛けた建築で、地上4階、地下1階の建物ですが、一般的なつくりではなく、中間部分に支柱がなく各階をスロープで移動するという秀逸なものになっています。

この坂の上の雲ミュージアムはガラス張りになている部分があり、そこから萬翠荘を風景として眺めることも可能です。ここでは坂の上の雲の世界観が楽しめるだけではなく、松山全体の町の観光情報も豊富です。松山は坂の上の雲ミュージアムや萬翠荘がある大街道一体から道後温泉の一体までさまざまな観光スポットが登場しますが、このミュージアムは、松山市全体を屋根のない博物館に見立てる構想として展示が楽しめます。

坂の上の雲ミュージアム

坂の上の雲ミュージアムの利用案内

所在地:〒790-0001 愛媛県松山市一番町三丁目20番地 
TEL:089-915-2600 
FAX:089-915-3600
開館時間:午前9時から午後6時30分まで(入館午後6時まで)
休館日:毎週月曜日(休日の場合は開館)
観覧料:一般400円、65歳以上200円、高校生200円、中学生以下無料

まとめ

萬翠荘が建てられている場所は、以前は松山藩の家老屋敷があった跡地であり、壮大な松山城の麓に位置しています。このあたりは松山観光の中心部ともいえる場所で、松山城とかつての城下町であった大街道を中心に一大観光スポットが形成されているのです。

例えば、松山城周辺には萬翠荘以外にも、二ノ丸史跡庭園や坂の上の雲ミュージアムなど旧松山藩にちなんだスポットが多く存在します。また松山城へ向かう通りは、大街道商店街、ロープウェイ街など、数多くのお店が立ち並ぶ一体であり、他では味わえない観光スポットが登場します。カンデオホテルズ松山大街道からもちかいため、是非お勧めです。

松山の観光をもっと楽しむにはこちらの回り方の記事もどうぞ

愛媛県の観光をもっと楽しむにはこちらの回り方の記事もどうぞ