開明学校。130年前の校舎がのこる四国最古の小学校

130年前の校舎が現存。四国最古の小学校

開明学校は、愛媛県西予市に残る、明治時代の学校です。その建物はおよそ130年前に建てられた建造物で、四国で最古の小学校といわれています。

明治維新を遂げ近代国家の道を歩み始めた明治政府は、教育制度も近代的なものに整備を始めました。明治維新前の江戸時代の教育システムは、寺子屋や藩校といった各藩や各地域独自の教育体制をとっており、この開明学校も、もともとこの場所にあった私塾である申義堂が前身でした。

しかし近代的な学校を作ることから、1882年、明治15年に校舎が完成。小学校として多くの生徒を教育してきました。この開明学校は、木造2階建ての校舎で、当時西洋建築が導入されていたこともあり、和洋折衷の擬洋風建築の姿をとどめています。

現代は小学校というと校舎も3階や4階建てで、教室もたくさんあり、校庭や運動場なども整備された学校をイメージしてしまいますが、この開明学校は近代国家の道をかろうじて歩み始めた当時の日本らしく、こじんまりとした、つつましい印象を受けます。

この開明学校は建物自体も貴重で国の重要文化財に登録されていますが、残されている教育関連の資料でも非常に豊富でその数なんと6000点にも及ぶとされています。これは教育史上、極めて価値が高いとされ、建物、資料両方の面において、開明学校は歴史的価値が高いとされます。

またこの開明学校の校舎の隣には、その前身ともなった私塾である申義堂も残されており、江戸時代から続く教育の歴史が感じられます。本日は、この江戸時代から明治時代まで続く宇和町卯之町の教育の象徴、開明学校をご紹介します。

 

宇和町宇野町 西予市 重要文化財 開明学校

開明学校へのアクセスと周辺の観光スポット

開明学校は、宇和町卯之町の重要伝統的建造物群保存地区の通りの終点とも言える場所にあります。重要伝統的建造物群保存地区は、宇和先哲記念館から開明学校に至るまでのわずか数百メートルの通りですが、開明学校はそのとおりの最後の地点にあり、小さい丘の上にあります。

宇野町宇和町の開明学校へ電車でアクセスする場合は讃予線卯之町駅から徒歩で4分程で行くことが可能です。宇和町卯之町はこの重要伝統的建造物群保存地区の街並み以外に、高野長英の隠れ家や、二宮敬作の住居跡地などがあり、昔ながらの江戸から明治の街並みを堪能することができるでしょう。

また、重要伝統的建造物群保存地区の他に愛媛県歴史文化博物館や、宇和米博物館などもあります。カンデオホテルズ松山大街道から、宇和町卯之町までは車で約1時間10分ほどで行くことができます。

 

開明学校はこちらです

開明学校の見所:明治大正の授業をリアルに

開明学校は冒頭でもご紹介した通り、130年前に建築された四国最古の小学校校舎が見所です。建物の外観だけではなく、実際に靴を脱いで校舎の中に入ることができるのが貴重です。

校舎の内部は1階と2階で分かれており、それぞれ見ることが可能です。内部は忠実に当時の様子が再現されており、机やいすなども木造のものが置かれており、まるで明治初期の教育現場にタイムスリップしてきたような錯覚を覚えます。

実際、この開明学校では、予約すれば明治大正時代の授業を体験できる「明治体験授業」が利用可能で、まさに明治時代そのものを味わうことができます。

 

宇和町宇野町 西予市 重要文化財 開明学校

明治時代の学校がそのまま残ります。宇和島藩の教育の流れを汲む貴重なスポットです。

文化財としては教育史上、建築史上ともに見応え満点

開明学校がこのようなリアルな時代を感じさせてくれるのも、文化財としての貴重な姿によるものです。例えば、近代的な校舎は美しい当時の白壁の様がそのまま残されており、アーチ型の窓やガラス窓が明治維新によって近代化を果たした日本の西洋化の流れを感じさせてくれるでしょう。

また内部に残されている数々の資料は、明治初期における教育現場をまのあたりに出来るだけではなく、当時の様子や江戸時代後期から明治時代まで続く我が国の貴重な教育資料館としての役割を果たしています。

とりわけ注目すべきなのが実際の教室が復元されていることもさる事と同時に、戦前における教科書や学校経営の資料がおよそ6000点も展示されている点です。

そこでは、明治時代を迎えて近代的な教育制度が整ってきたとはいえ、そこに移行する背景には長年培われた江戸時代における藩校や寺子屋といった教育制度の醸成が見て取れるのです。

宇和町宇野町 西予市 重要文化財 開明学校いまでは見ることができない貴重な明治時代の教室が登場。

江戸時代の教育の流れを受け継ぐ開明学校

重要伝統的建造物群保存地区に指定されている西予市の宇和町卯之町。もともと宇和町卯之町は江戸時代には宇和島藩の領地でした。宇和島藩といえばわずか10万石の小藩ながら幕末には西洋技術を広く取り入れ、もっとも開明的な藩として知られています。

当時の最先端の学問とされた蘭学の浸透に力を入れ、二宮敬作や高野長英といった蘭学者との関係も深い藩です。特に藩内の教育に力を入れ、蘭学者を受け入れて西洋技術を取り入れるだけではなく積極的に藩士の教育にも注力したことで知られています。

上記の二宮啓作と高野長英はかの有名なシーボルトの門下生として、長崎の鳴滝塾で学び、その後日本の蘭学、ひいては洋学の道を開く役割を果たしました。

また二宮啓作は、シーボルトが日本に残した娘、楠本イネを養育し、一人前の女医にまで育てたことで知られます。開明学校の展示では、この二宮啓作や楠本イネの資料や写真なども目の当たりにできます。

ちなみに、宇和島藩の近代化の象徴ともいえる軍艦や大砲は、日本の近代兵制を築き、幕末の戦いで活躍した大村益次郎が作りました。

この大村益次郎も楠本イネに蘭学を教えたといわれています。そんな江戸時代から脈々と受け継がれてきた“教育”の集大成が開明学校では実感できることでしょう。

宇和町宇野町 西予市 重要文化財 開明学校

二宮金次郎の銅像も展示。

開明学校の利用案内

所在地:西予市宇和町卯之町3-109

TEL:0894-62-4292

営業時間:9時~17時(入館16時30分まで)

定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)/年末年始(12/29~1/3)

駐車場:なし(近くの中町広場駐車場に駐車可)/無料

料金:大人500円、小人(中学生以下)300円

明治の授業体験(4人以上):1人200円

※入館料は申義堂、歴史民俗資料館、民具館がセット

 

開明学校と一緒に見れる宇和民具館。5000点の民具で国内有数

開明学校とセットで見ることができるのが宇和民具館です。開明学校のすぐ下にあり、受付は一緒です。宇和民具館では、宇和島藩の在郷町であった宇和町卯之町にのこる民具がおよそ5000点も残されており、実はその数は現在も増え続けているとか。

民具館では日本国内でも有数の規模を誇るスポットです。ちなみに民具とは人々の生活に密着した古来からの日用品道具のことを指す。現代は機械化によって大量生産された日用品が流通していますが、民具とは、江戸時代やそれ以前の時代から生活に必要とされる道具として扱われていたもので、家具や調理器具、衣類、履物など、あらゆるジャンルに及びます。

この民具は、国や地方によって様々な特色があり、その地域や国の人々の暮らし向きや風俗などを知るうえで貴重な資料となります。宇和民具館では、宇和町卯之町ならではの民具も取りそろえ、迫力ある展示が見応えがあります。松山 観光スポット 宇和民具館 松山 観光スポット 宇和民具館 松山 観光スポット 宇和民具館

宇和町卯之町の魅力。江戸、明治の街並み

ここで開明学校の周囲を取り巻く宇和町卯之町の魅力についてもご紹介しましょう。宇和町卯之町は、現在は西予市に区分されていますが、かつて江戸時代には宇和島藩の在郷町として栄えた歴史があります。また、宇和町卯之町はすぐ近くにある四国八十八カ所霊場の第43番目札所である明石寺の門前町としても栄えました。

現代に入っても、江戸時代や明治時代の雰囲気を町に残すことから、重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。ちなみに、重要伝統的建造物群保存地区とはかつての城下町や宿場町、門前町などの伝統的な建造物群の内、単一の建造物ではなく、町ごと残されている地区をさし、特に価値が高いものとされるものです。

同じ愛媛県内では内子町の八日市護国などが重要伝統的建造物群保存地区に指定されていますが、ここ宇和町卯之町もかつての街並みが楽しめます。

この宇和町卯之町の見所は、宇和先哲記念館から開明学校までのおよそ数百メートルがなかなかの見所スポットであり、その終着点ともいえる開明学校は、最大の名所ともいえるでしょう。ぜひ宇和町卯之町の散策のしめに開明学校を見学ください。松山 観光スポット 卯之町 松山 観光スポット 卯之町

まとめ 宇和町卯之町最大の見所スポット

開明学校は私塾・申義堂とともに、かつての宇和島藩の教育への熱心さが伺える建物です。建物内には、宇和島の教育に影響を与えた二宮啓作の展示や啓作に教育を受けた人々の展示なども行われており、幕藩体制における地方の小藩の面白さが伝わります。

現代では、人やモノが東京に一極集中する時代ですが、江戸時代は各地方に存在する藩が独自のとりくみを行っており、とりわけ教育の分野では藩の大小関係なく優れた地域が多数存在しました。

特に宇和島藩は当時最先端とされた蘭学を取り入れたり、藩士の子弟の教育に力を入れたりと教育熱心な藩として知られ、多くの著名人を輩出、かかわりを持ちました。開明学校は、そんな江戸時代の幕藩体制化における地方の教育が凝縮したものとして、江戸時代から明治にかけての地方行政の面白さが感じられるスポットです。

ぜひ重要文化財の建物とともに、また宇和町卯之町の町歩きとともにお楽しみください。