世界のタイル博物館

世界のタイル博物館。焼き物の町常滑に残る一大スポット

焼き物の町として有名な常滑市。知多半島の付け根に位置するこの町では、古代から焼き物の町として陶磁器の生産が行われていました。特に日本の焼き物の中で代表とされるのが六つの代表的な産地であり、六古窯と称されますが、常滑焼はその六古窯の一つとされています。

そんな焼き物の町常滑ですが、日本を代表するメーカーが存在するのです。それがトイレなどのメーカーとして有名なINAXです。INAXは、ここ常滑生まれの企業として有名で、現在では住宅メーカーのLIXILのグループ企業として主にトイレや浴室周りのバス、キッチンといった住宅材を製造しています。

INAXやLIXILは日本の住宅メーカーとして全国区で有名ですが、INAXの始まりが焼き物の町常滑であることを知る人は少ないのではないでしょうか。そんな常滑の町ですが、ここでは焼き物とINAXの歴史がわかる巨大な体験型のミュージアムが存在するのです。

INAXライブミュージアムといわれるこの博物館は、焼き物に関する歴史や体験などができる楽しい産業博物館で、さまざまな展示館で成り立っています。本日ご紹介する世界のタイル博物館もINAXライブミュージアムの中にある、博物館の一つで、世界中のタイルとその歴史、タイルを使った建築物が目の当たりにできる博物館です。

タイルは焼き物の中でも最も歴史が古い製品の一つですが、その始まりはおよそ5000年前にも遡るともいわれています。また国や地域は、古代メソポタミアからエジプト、イスラム、ヨーロッパ、アジアに至るまで、いわば万国共通の建築資材でもあるのです。そんなタイルと焼き物の全てがわかる博物館が世界のタイル博物館なのです。

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常滑とINAXの歴史。便器は江戸時代から作られていた

INAXは、常滑発の全国的なメーカーです。常滑市の焼き物の歴史は非常に古く、平安時代後期から盛んにおこなわれてきた歴史があります。INAXはトイレの便器として有名な企業ですが、実は常滑では江戸時代から便器が焼き物で生産されていました。

INAXが1887年に常滑の陶工である伊那初之丞が創業しましたが、近代化を進める明治時代には、便器のほかに土管といった陶磁器製造を行い、産業用の様々な焼き物を生産しました。

ちなみに、ここINAXライブミュージアムでは、INAXが生産した土管や、ビルのタイル、便器など数々の作品を目の当たりにすることができます。

INAX世界のタイル博物館へのアクセス

世界のタイル博物館、もといINAXライブミュージアムへは常滑市の焼き物の歴史や街並みがわかる焼き物散策道から少し離れた場所にあります。常滑駅からは歩くとかなりかかるため、自動車で訪れることをお勧めします。

ちなみに焼き物散策道とは、常滑における焼き物の一大生産地帯を散策道として整備された観光スポットで、古き良き明治大正昭和の街並みを堪能することができます。

INAXライブミュージアムはこの焼き物散策道の一部分でもあるのですが、散策の一環として訪れるにはかなりの距離があるため、別途車で行くのがいいでしょう。

ちなみにお隣の半田市にあるカンデオホテルズ半田からは車で20分ほどで行くことができます。半田のホテルではぜひ、カンデオホテルズをご利用ください。

INAX世界のタイル博物館はこちらです

6000点のタイルが並ぶ圧巻のタイル装飾

ここ世界のタイル博物館は、タイル研究家として知られる山本正之氏が、自らが持つおよそ6000点ものタイルを寄贈されたことから始まります。

山本正之氏は、タイル研究家として全国50か国以上を回り、タイル研究に生涯を費やされました。その生涯で収集したタイルはおよそ3000種類、6000点にもおよび、国や地域によってタイルが異なり、そのタイルがその地域や国の風俗や習慣がどのように影響しているかを導き出した研究者として有名です。

世界のタイル博物館は、そんな山本正之氏が生涯をかけて情熱を注いだタイル研究の集大成ともいえる博物館なのです。山本氏の研究にのっとって、ここ世界のタイル博物館は、国や地域ごとに区分けされ、見事なタイル装飾を目の当たりにすることができます。

また時代区分も幅広く、古代オリエントの時代から、15世紀までのイスラーム、16世紀から18世紀までのヨーロッパとアジアの文化融合の時代、産業革命後近代化を進む19世紀から20世紀のイギリス、更には中国や日本と、国と時代ごとの圧巻の展示が見応えがあります。

巨大なタイル装飾の建築物を再現。圧巻の迫力

世界のタイル博物館の見所は、タイル装飾の建築物をそのまま室内に再現した展示方法です。まるで博物館の中に、さまざまな国や文化の室内がよみがえったかの如くの印象を受けることでしょう。

基本的な展示方法は、常設展と企画展にわかれていますが、メインとなるのは常設展です。この常設展は1階と2階でわかれており、それぞれで全く異なる空間を堪能することができるのです。

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建物の内部もほぼ全てタイルでできています

1階の見所。4大文明など時代ごとの巨大なタイル装飾

まず初めに回る常設展1階は、時代ごとの巨大なタイル装飾が堪能することができます。時代は5500年前の古代文明で、四大文明の一つでもあるメソポタミア文明のタイル装飾から、もう一つの四大文明である紀元前2750年ごろのエジプト文明のタイル装飾、更には9世紀ごろから拡大したイスラーム文明のタイル装飾まで登場します。

これほど古い時代の建築物や装飾物は現代ではほとんどお目にかかれないのが一般的ですが、ここ世界のタイル博物館では、緻密に再現された古代文明のタイル装飾が目の当たりにすることができるのです。例えば、メソポタミア文明の装飾で見られる壁一面に埋め込まれた円錐形の焼き物は、「クレイペグ」といわれる独特の装飾で、古代にこれほど緻密に美しい建築物があったのかと驚かされます。

一方、エジプト文明の展示では、世界最古のピラミッドといわれるジェセル王のピラミッドの壁面を再現された、美しいエメラルドグリーンのタイル装飾がひときわ目立ちます。さらに、三つ目で登場するイスラームの世界を再現したタイル装飾では、イスラームならではのモスクのドーム状をタイル装飾した展示がされており、現地でしか見ることができないような幾何学模様が楽しめます。

これらの時代のタイル装飾は、現代のような量産ではなかったにも関わらず、驚くほどシャープで美しい形状を見せてくれます。面白いのが単純な展示ではなく、各エリアごとにおいて、まるでその文明ならではの建物に入ったような錯覚を受けることです。

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5500年前のタイルから始まります

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エジプトの世界最古のタイル

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イスラムのモスクなどのドーム天井。独特のタイル装飾が見れます

 

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ヨーロッパ風のタイル建築も

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西欧では室内のインテリアに古くから使われています

2階の見所。国別、地域別の1000点ものタイルコレクション

続いて2階の展示では、1階とは異なり、タイル装飾の様々なバリエーションを楽しませてくれます。1階が時代ごとに圧巻の室内展示をしてきたのとは別に、2階では、国別、地域別におけるさまざまなタイル装飾の展示が楽しめるのです。

オリエント、イスラーム、オランダやイギリス、スペインといったヨーロッパ諸国のタイル、更には我々にはなじみ深い中国や日本まで、と世界各地の主要なエリアのタイルコレクションがまのあたりにできるのです。まさに2階の展示では、タイルという焼き物が世界共通の建築資材であり、同時に色とりどり、さまざまな形のタイルを建物に埋め込むことで、その国ならではの文化や習慣が感じられるのです。

例えば、オランダのタイル装飾では、貿易大国として栄えたオランダが、中国などの染付磁器の影響を受けて、それを自らのタイル製造に取り入れている様や、産業革命後の発展を遂げたイギリスが、花や植物を取り入れるアールヌーボー様式を取り入れている装飾など、その国の当時の情勢すなわち国際情勢や経済情勢、またそれによってはぐくまれる産業や文化などを色濃く受けていることがうかがえて非常に面白いです。

ちなみに日本では現代的なタイル装飾に日本ならではの雰囲気が取り入れられているのがわかります。

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展示されているタイルもさまざまなタイルがあります

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歩く廊下もタイルです

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美しい装飾が堪能できます

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日本のタイルの歴史も見れます

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日本のタイルたち

INAXライブミュージアム館内共通の利用案内

所在地:愛知県常滑市奥栄町1-130

TEL:0569-34-8282、FAX:0569-34-8283

営業時間:10時~17時(入館は16時30分まで)

休館日:第三水曜日

料金:一般600円、大学生・高校生400円、小中学生200円

江戸時代の便器や焼き物体験も満載。幅広い楽しみ方ができる

世界のタイル博物館では、焼き物であるタイルの歴史、文化、ものとしての美しさ、建築物としての奥深さが味わえますが、INAXライブミュージアムでは、これ以外にも様々な展示がされています。常滑市はかつて土管の一大生産地でしたが、当時は焼き物で土管が作らることが多く、INAXが生産した巨大な土管跡なども見ることができます。

またここライブミュージアムでは、展示を見るだけではなく自らも焼き物を体験したり、不思議な光る泥のボールを作ったりと大人も子供も楽しめる体験が盛りだくさんなのがうれしいところ。それが全館共通の600円(大学生・高校生400円、小中学生200円)ですべて満喫できてしまうからいうことありません。

ぜひ、INAXライブミュージアムでは、世界のタイル博物館以外でもたっぷりと焼き物の奥深さと楽しさを味わってみてください。

常滑の焼き物散策道とセットで

INAXライブミュージアムと世界のタイル博物館は、単体で訪れるよりも、常滑市の一大観光スポットである焼き物散策道とセットで訪れることでより一層奥深い体験ができます。常滑市は冒頭でもご紹介した通り、焼き物の一大生産地でしたが、とりわけ土管や便器といった我々の生活に密接にかかわる焼き物製品を生産した地域として有名です。

一般的に焼き物というと、お椀や器といった食器類を連想しがちですが、ここ常滑の地では、焼き物が日本のあらゆる産業の道具として使用され、そしてそれが現代でも進化して使われていることがわかります。

例えばINAXライブミュージアムに残る高層ビルのさまざまなタイルや、焼き物散策道に残る土管や街並みなど、焼き物という一つの分野が、非常に面白く奥が深いことがわかるのです。ぜひ、INAXライブミュージアムと世界のタイル博物館は焼き物散策道とセットで訪れてみましょう。

まとめ

世界のタイル博物館はINAXライブミュージアムの中においても、迫力、美しさ、貴重性など、ほかのどの展示館よりも満足度が強い博物館です。それが実際に日本有数のタイル研究家が収集したタイルを使い、そして、忠実にあらゆる時代のタイル建築を再現されているから、リアル館が半端ありません。

また、タイルという一つのものづくりの分野を通して、あらゆる地域や国、そして時代の流れを感じることができるのも大きいといえるでしょう。INAXライブミュージアムでは、ぜひ世界のタイル博物館をお楽しみください。