蓬莱橋。世界一長い木造歩道橋

蓬莱橋とは。世界最長897.4メートル、ギネス記録を持つ

今回ご紹介する蓬莱橋は、なんと全長897.4メートル、約1キロ近い長さを誇る、世界一の木造の歩道橋です。

この世界一の長さから蓬莱橋はギネスブックにも登録されており、毎年、数多くの観光客が訪れる島田市の一大スポットでもあるのです。

わたるためには通行料金がかかり、自転車か徒歩でしかわたることはできません。また、蓬莱橋にはさまざまな意味が込められており、897メートルという事から「厄無し」の意味があったり、世界一長いことから、長生きの意味があります。

更に「蓬莱」という言葉は、古代中国で仙人たちが住む神山の一つとされており、日本においても富士山の付近など、神聖な場所のことを指します。この蓬莱橋には、そんな豊かさなどを象徴する名前が付けられたのは、この地域の幕末の歴史と、現在日本一となっている茶畑との関わりがあるのです。

天気のいい日には橋の上からでも富士山が眺めることができる一大スポット蓬莱橋をご紹介します。

蓬莱橋

蓬莱橋の歴史。日本一の茶の産地をつなぐ、開拓者たちの橋

この蓬莱橋が作られたのは今から遡ること130年以上昔、1879年、明治12年の時です。

ちょうど大政奉還によって江戸幕府が消滅し、日本が近代国家への道を歩み始めてから10年近くたった時期でした。

現在、静岡県は日本一の茶の生産量を誇り、お茶も静岡を代表する産業に育っていますが、実は明治時代以前までは、静岡県には広大な茶畑など存在しなかったのです。静岡県の中でも特に最大規模を誇り、日本随一の生産量を誇るのが、蓬莱橋の先にある牧之原台地です。

今でこそ牧之原台地は日本最大の茶の産地として知られていますが、当時の牧之原台地は何も育たない不毛の地でした。

そして蓬莱橋は、この不毛の土地とされた牧之原台地を、豊穣の土地に仕上げようという開拓者たちの願いが込められた橋なのです。当時の静岡県の武士たちは近代国家が成立したことから、先祖伝来の家禄を失い、食っていくのも大変な時代でした。

そのため自らと家族が生きていくために思いついたのが、何も育たない不毛の土地であった牧之原台地を茶畑に開拓することです。当時大井川には橋が架けられておらず、牧之原台地に開拓に向かうためには川を船で渡らなければなりませんでした。

そのさい、安全に渡ることが出来る橋があったらということから作られたのが蓬莱橋なのです。この蓬莱橋は、開拓民の出資でつくられたため、開設当初は、通行料をとったとされています。

因みに現在の通行料もその名残からきていると言われており、現代でも数少ない賃取橋の一つとして有名です。通行料金は大人と自転車が100円で子供が10円で、通行時間は8時30分から夕方5時まで。木橋の入口から往復は約30分から40分程度でいくことが可能です。

蓬莱橋

世界一長い木造の橋

蓬莱橋の見所

蓬莱橋の最大の見所は全長897メートルもの長大な木造橋が歩けるという点です。ギネスブックに記録されているだけではなく、実際、歩ける木造橋は中々日本にも残されておらず大変貴重な存在です。

その130年以上前の木造建築は、まるで江戸時代の中の風景かのようです。更に、その景色はこの地域ならではのもので、広大な牧之原台地に加えて天気の良い日には富士山まで見渡すことができるのです。

大井川の流れを目の当たりにしながらゆったりと徳川武士たちの思いの詰まった歴史を感じることができます。

蓬莱橋

日本最大の茶畑へとつづく

蓬莱橋へのアクセスと利用案内

蓬莱橋は車では渡ることが出来ません。徒歩か自転車でしかわたることが出来ないため、車で蓬莱橋へアクセスする場合には、蓬莱橋の周辺にある駐車場を利用する必要があります。

河川敷駐車場では普通車が70台、橋から100メートル上流の駐車場では普通車26台ほどが止めることができ、駐車料金はかかりません。

因みに駐車場があるのは大井川の左岸で、右岸にはありません。またカンデオホテルズ静岡島田がある吉田ICからは約15分、JR島田駅からは徒歩20分ほどで行くことが出来ます。

周辺の牧之原台地などの観光スポットと回りたい場合は、車でのアクセスがおススメです。

蓬莱橋はこちらです

蓬莱橋の利用案内

所在地:島田市南2丁目22-14

TEL:蓬萊橋 090-7866-1056 

島田市観光協会:0547-46-2844

営業・渡橋時間:終日

入場料:大人(中学生以上)100円、小人(小学生)10円、未就学児 無料

蓬莱橋関連のおススメ観光スポットも

蓬莱橋の周辺には島田市ならではのおススメ観光スポットが多数登場します。そこではこの地域を代表する川である大井川をはじめ、日本随一のお茶の産地であることを堪能できる観光スポットなどが楽しめます。

ここでは蓬莱橋関連のおススメ観光スポットをご紹介しましょう。

牧之原台地。日本最大のお茶の産地と茶畑

蓬莱橋が作られるきっかけともなったのが静岡県士族たちによる茶畑の開拓です。かつては不毛の台地であった牧之原台地が現在は日本最大の茶畑になっているのです。

ここではあたり一面の茶畑が見られるだけではなく、実際にお茶ものめて多数のブランドのお茶のお土産がそろう「お茶の郷」があります。

お茶の郷では、牧之原台地に関するお茶の歴史がわかるだけではなく、お茶室なども設けられ、喫茶も楽しむことができます。

更に、牧之原台地はその名前の通り台地に存在するため見晴らしもよく、牧之原公園という小さい公園では、大井川や周辺の景色を一望することが出来ます。

ここには日本にお茶と喫茶の文化を持ち込んだ鎌倉時代の人物、栄西の銅像も建てられています。

牧之原台地

島田宿と明治時代まで橋がなかった大井川

蓬莱橋は明治時代になってから作られた橋ですが、そもそも大井川には江戸時代まで橋がひとつもありませんでした。

なぜ橋が作られていなかったのかは江戸幕府の命令によって防衛上の観点から作られませんでした。戦いが当たり前であった戦国時代では、川は防衛上の役割も果たしており、わざと橋を設けないで相手の国の浸入を防ぐという意味がありました。

戦国時代を戦いぬいて幕府を作った徳川家には、その政策の根本に争いの原因をはじめから排除していくという思想があったかと思われます。

まして大井川の先にあるのは徳川家のおひざ元である駿河藩です。こうした経緯から大井川には橋は架けられずそのかわりに島田市には独得の制度が誕生しました。それが「川越」という制度です。

この川越制度がある宿場町が「島田宿」であり、ここでは、大井川を渡るための貴重な川越制度の跡を見ることができます。

「川越」とは、その名のとおり、川を人の肩や馬の背中に乗って越す制度のことで、具体的には、静岡県大井川を渡すことをさします。実はこの「川越」と言われる制度、明治時代に蓬莱橋がかけられるまで続けられていました。川会所において川越銭を支払い渡してもらうという大変な手間をかけていたのです。

これは江戸幕府の政策によるもので、なんと驚くべきことに、270年近くもの間、ここ大井川では「川越」による移動が行われていました。

これは江戸幕府の体制が徹底した徳川家保護主義にあり、江戸防衛の理由からわざと橋をかけなかったことが挙げられます。

ちなみに江戸幕府の防衛思想は徹底しており、諸国の大名に武器の製造や改良を禁止したり、参勤交代によって膨大な費用を使用させ、謀反を起こすエネルギーを根こそぎ費やさせるなど、あらゆる禁制によってなりたっていました。

そんな歴史を持つ大井川と島田の街ですが、明治維新によって太政官政府ができると「川越」の制度が廃止され、大井川に橋をつくることが許されました。

この島田宿の入り口には、島田市の宿場町としての歴史や、大井川の歴史がわかる島田市博物館もあるため、合わせて見るといいでしょう。

静岡 観光スポット 島田宿

大井神社。大井川を祀る

蓬莱橋のすぐ近くには、大井川を祀る大井が神社もあります。大井神社は実はこの地域に50社近くも存在しますが、ここはその数ある大井神社の中でも中心的な存在です。

もともと川は古代においては稲作や畑など多くの実りを人々にもたらすと同時に、大雨や台風などによってひとたび氾濫すると、多くの災害をもたらす存在です。

そうしたことから大井川は古代から神として祀られており、この地方では人々の信仰の対象でもあるのです。また大井神社は島田市を代表するお祭りでもある島田大祭の開催地でもあります。

島田大祭は、3年に1度開催される島田市最大のお祭りで、日本三奇祭、天下の三大奇祭、東海の三奇祭の一つに数えられています。

開催されると数十万人が集まるお祭りとされ、江戸時代の1695年から100回以上も開催が続けられています。この島田大祭りとは別名、帯祭りともいわれており、大名行列がみることができます。

大井神社

まとめ

蓬莱橋はギネス記録にも認定されている長い橋としてわたるだけではなく、大井川と牧之原台地、富士山などが目の当たりにできる橋として楽しめます。

また、不毛の地を耕し、日本一のお茶の生産地まで発展させた開拓者たちの願いが詰まった橋です。そんな蓬莱橋は台風や川の増水などによる数々の崩落にも復活し、今でも大切に保存されています。

ちなみに、橋脚はコンクリートパイル化されており、改修から復活し2012年に開通式が行われました。そんな貴重な蓬莱橋は静岡県の観光スポットとしてオススメの場所です。

更に蓬莱橋の周辺には、かつての江戸時代の宿場町として川越制度という独得の制度を持っていた島田宿の跡地や、日本一のお茶の生産地として知られる牧之原台地、3年に一度、島田市に数十万人もの多くの人が集まる一大祭り、島田大祭りの中心地でもある大井神社など、島田市ならではの見所スポットが数多く登場することでしょう。是非、蓬莱橋の観光とセットでおススメです。