軽井沢の避暑地で小説風立ちぬの世界を体感「堀辰雄文学記念館」

風立ちぬの作者、堀辰雄の過ごした家

宮崎駿が手がけたスタジオジブリの映画「風立ちぬ」。実際の零戦の設計者である堀越二郎が零戦を完成させるまでを描いたストーリーですが、単なる戦闘機の制作ではなく、愛する女性が肺結核で療養するもなくなるという切ないストーリーが描かれています。

この内容は堀辰雄の実体験を元にした小説「風立ちぬ」がベースになっており、堀辰雄の名前を若い世代まで知らしめる作品ともなりました。実は堀辰雄はこ映画の元にもなった小説「風立ちぬ」でも見られるとおり、日本で初めて実体験をベースにする私小説という分野にロマンという文学形式を取り入れフィクションとしての「小説」を確立させた人物です。

日本の近代小説は、明治時代に本格的に登場しましたが、その形態は大きく分類して二つ、見たものをそのまま表現する写実主義と、西洋からの影響を受けたロマン主義があります。すなわち作者自らが直接に体験したことを素材にして書かれた私小説と呼ばれ、その反対に空想のストーリーを楽しむのがロマン主義と呼ばれました。

堀辰雄が斬新であったのはこの二つを融合し、独自の文学世界を創造したことにあるとされています。小説「風立ちぬ」も肺結核で療養し婚約者を亡くすという自らの体験をベースにつくられた小説です。そんな堀辰雄自信も肺結核で度々療養することが多く、この軽井沢の地で生涯を終えました。

その最後に暮らしていた場所が堀辰雄文学記念館として今もその姿を残し見ることができます。

軽井沢 風立ちぬ 堀辰雄文学記念館

堀辰雄文学記念館へのアクセス

堀達雄文学記念館は、長野県佐久郡軽井沢町追分にある追分宿といわれた宿場街にあります。電車では信濃追分宿から徒歩30分ほどの場所ですので、車でのアクセスが最適です。すぐ周辺には軽井沢のさまざまな観光スポットが有るため、軽井沢の観光の文学スポットの一つとして訪れることをオススメします。カンデオホテルズ茅野からは車で約1時間40分ほどかかります。

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かつての中山道の宿場街、追分宿にある堀辰雄文学記念館

堀辰雄文学記念館は堀辰雄が晩年を過ごした家が記念館になっています。その場所は、堀辰雄が愛した地、軽井沢の追分にあります。この追分は江戸時代の五街道の一つ、中山道の六十九次にある宿場街、追分宿の本陣のあった場所。

長野県は江戸からつづく宿場街が多数残る県としても知られていますが、この追分宿も中山道から北陸へ向かう北国街道との分岐点に当たる要衝として多くの旅人たちが宿泊しました。この追分宿は江戸の全盛期には上級武士や公家が宿泊する本陣1軒、一般武士などが宿泊する脇本陣2軒、一般の旅人の宿である旅籠が71軒、茶屋18軒、商店28店があるほどの殷賑ぶりを誇り、明治時代以降も旅館などは運営を続けていたとされます。

堀辰雄は当時不治の病とされた結核に若い頃からおかされて、軽井沢には度々療養にきていました。特にこの追分宿周辺は堀辰雄に愛され、彼の小説『菜穂子』や『ふるさとびと』に登場する旅館、牡丹屋はかつての追分宿脇本陣であった油屋という旅館がモデルにもなっています。

ちなみに、堀辰雄文学記念館の入口に残るのが、本陣の裏門で、かつてこの地に追分宿の中心的存在であった本陣が設けられていたことを示します。追分宿の本陣は中山道の数ある宿場町の中においても最も大きな宿泊規模を誇っており、塩尻宿、上尾宿に次ぐものとして巨大さを誇っていました。

しかし、明治時代の末期には追分宿に近い御代田町に移築され、今は裏門が堀辰雄文学記念館の入口として残されています。こうした独特の雰囲気は、一般的な文学記念館や、美術館とは一風異なる趣を醸し出しており、独特の静寂さがあります。

軽井沢 風立ちぬ 堀辰雄文学記念館

かつての宿場町の本陣跡

軽井沢 風立ちぬ 堀辰雄文学記念館

正門が残りその中が堀辰雄の住んだ家になっています

軽井沢 風立ちぬ 堀辰雄文学記念館

内部に進むと受付があります

堀辰雄の過ごした邸宅や愛用の品々、書庫まで残る記念館

入口である追分宿の本陣を進むと、そこには入口の深沈たる森の雰囲気とは全く異なる世界が開けます。広大な芝生を中心にいくつもの建物が並びたち、かつて堀辰雄が晩年まで生活していた建物がそのまま残されています。そこには建物を忠実に残すだけではなく、堀辰雄が使用していた机や椅子、電気スタンドといった愛用の品々まで細部に至るまで全てがそのままの形で保存されています。

また、堀辰雄の生涯は48歳という短い生涯でしたが、亡くなる10日前に完成したという書庫も見ることができます。この書庫の完成を相当楽しみにしていたとのことで、本の並べ方まで妻に指示をしていたといいます。こうした堀辰雄に因む建築物以外に、堀辰雄の生涯や数々の写真、作品の草案などが展示された展示館もあり、実際の写真や資料と、堀辰雄が実際に過ごした歴史的建造物との融合が醍醐味になった記念館と言えるでしょう。

軽井沢 風立ちぬ 堀辰雄文学記念館

堀辰雄が住んだ家がそのまま展示

軽井沢 風立ちぬ 堀辰雄文学記念館

中には入れませんが風立ちぬの雰囲気が満載です

軽井沢 風立ちぬ 堀辰雄文学記念館

亡くなる直前に完成した書庫

軽井沢 風立ちぬ 堀辰雄文学記念館

本の並べ方まで指定していたとか

軽井沢 風立ちぬ 堀辰雄文学記念館

こちらは展示室です

まとめ 軽井沢を代表する文学観光スポット

堀辰雄はその生涯において数々の作品を残しましたが、その業績は単なる作品のみを残す範囲を超えていると言えるでしょう。日本の近代文学のなかにおいて本格的なロマン小説という新しい分野を作り出すことに成功し、その物語は半世紀以上たった現代でも多くの人に愛されています。

堀辰雄文学記念館は、彼が晩年を送った邸宅や、愛した場所がそのまま残されていることから、より彼の作品を奥深いものに感じさせてくれることでしょう。軽井沢を代表する文学観光スポットとして是非オススメです。

カンデオホテルズ茅野

堀辰雄文学記念館