元興寺。ならまちに残る世界遺産

元興寺とは。蘇我馬子ゆかりの世界遺産

奈良は世界遺産に登録されているお寺が多数登場します。今回ご紹介する元興寺も世界遺産の一つです。また元興寺は奈良のお寺で有名な南都七大寺の一つに数えられるお寺でもあるのです。もともと奈良は大和といわており、京の平安京に遷都するまで、日本の首都として歴代の政権が宮殿を築きました。

そして朝廷の支配の中心として仏教が中国から伝来され、その代表ともいえる数々のお寺が建てられたのです。東大寺や興福寺、法隆寺や薬師寺など、現在世界遺産に登録されているお寺たちは、都が京都に移された後でも絶大な勢力をほこっていたのです。

元興寺もそんな大和一国に影響力を持つ南都七大寺の一つとして、全盛期には巨大な伽藍を誇ったのです。その勢威は、東大寺、興福寺と並ぶほどの巨大さといわれました。

また元興寺は日本最古の仏教寺院とされる法興寺を前身にもち、日本の歴史で聖徳太子と共に活躍した蘇我馬子ゆかりのお寺なのです。また、元興寺は、ならまちの中にあり、ならまちの観光と合わせて楽しめるおススメスポットです。

元興寺

元興寺の歴史

元興寺の始まりは、蘇我馬子が作った日本で最初の仏教寺院である法興寺です。法興寺は現在は飛鳥寺といわれるお寺です。もともと、飛鳥にはった藤原京から、平城京に遷都するにあたり、法興寺も平城京のすぐ近くに移設されたのが元興寺の始まりです。

因みに元興寺と同じく世界遺産である薬師寺、興福寺なども平城京遷都に伴って現在の場所に移されました。この元興寺の名前は、前身であった法興寺と同じ意味をもち、日本で最初に仏法が興隆した寺院という意味があります。

もともと、日本には神道がありますが、聖徳太子と蘇我馬子が日本の朝廷による支配を確立させるために、中国から仏教を取り入れたのが始まりです。元興寺は平城京の近くに移された後は、三論宗と法相宗の道場として発展し、南北440メートル、東西220メートルもの巨大な伽藍を誇っていました。

その後、東大寺や興福寺が栄える中、元興寺は次第に衰退し室町時代には土一揆によって多くの伽藍が焼失したと言われています。現在は、本堂をはじめとした建物が国宝に登録されていますが、その本堂ですら、1950年代には、「化け物が出る」といわれていたほどです。現在は整備され、国宝の本堂などが目の当たりにできます。

元興寺

蘇我馬子とは。飛鳥時代の中心的政治家

元興寺の前身である法興寺(現飛鳥寺)を作った蘇我馬子とは、どのような人物だったのでしょうか。蘇我馬子は、飛鳥時代に54年にわたって権勢をふるった政治家で、聖徳太子と共に、日本の統治に仏教を取り入れた中心的な人物です。

その一番最初の寺として建てられたのが、法興寺なのです。法興寺は飛鳥寺といわれ蘇我氏の氏寺として始まり、平城京遷都とともに元興寺として官製の寺になりました。蘇我馬子はこうした仏教を根付かせるだけではなく朝廷の制度である冠位十二階の制や憲法17条などを制定した実質的な人物であり、遣唐使船の派遣なども行った政治家です。

蘇我氏は、蘇我馬子の後、息子である蘇我蝦夷、孫である蘇我入鹿の代に、大化の改新によって討たれ滅ぼされてしまったのです。

元興寺の見所

元興寺はもともと、先にもご紹介した通り奈良時代では東大寺や興福寺と並ぶほど巨大な伽藍を誇っていました。南大門、中門、金堂、講堂、食堂などといった、東大寺や法隆寺のような建物が南北に一直線に並ぶほどだったと言われています。

現在の元興寺はかつての巨大な伽藍は残されていませんが、国宝の本堂や重要文化財の東門などが残されています。ここではその見所をご紹介しましょう。

元興寺

本堂。国宝に登録されている極楽堂

元興寺の最大の見所が、国宝に登録されている本堂です。この本堂は別名極楽堂と呼ばれる建物で、もともとは元興寺東室南階大坊といわれた僧坊の一部だった建物です。建物そのものは奈良時代のものですが、鎌倉時代1244年に改修され現在の姿に至っているものです。

内部はみることが出来ませんが、内部の姿は奈良時代の僧坊の身舎部を残しているとされ、西流れの屋根にある行基萱古瓦は、なんと飛鳥時代に移築される前であった法興寺時代のものがそのまま移築され残されているのです。

こうした外観の部分や内観に、創建当時、蘇我馬子が作った当時のものが残されているなどから、国宝に登録されているのです。ちなみに元興寺の前身であった法興寺、現在の飛鳥寺は、当時の姿は残されていないため、この本堂でかいま見ることができます。

元興寺

禅室。鎌倉時代に改築した国宝

元興寺にはもう一つ国宝があります。それが本堂と接して立つ禅室です。この禅室も本堂と同様にもとは僧坊であった建物で鎌倉時代に改築されました。因みに僧坊とは僧侶が生活を送る住居のことで、昔の時代はお寺に住んでいました。

本堂の内部は僧坊とはいえ奈良時代のものであったように、この禅室に使用されている木材も元興寺の発表では、なんと西暦582年に伐採された木材が使用されているとのことで、その古さは法隆寺などよりも古いと言われています。

奈良時代の講堂の礎石も残る

元興寺のかつての巨大な伽藍は現在は失われてしまっていますが、その名残が残されています。それが、講堂の礎石です。

礎石とは、建物の土台となる石のことで、元興寺の講堂の礎石はなんと長さ1.5メートル、幅1.2メートルから1.6メートルという非常に巨大なものであることがわかります。こうしたことから創建当時の講堂は、間口11間という巨大なもので、ありし日の姿がこの礎石からしのばれます。

元興寺

浮図田。南都の風物詩、石塔

元興寺には珍しい文化財も残されています。それが2500基もの石塔や石仏を集めた浮図田です。浮図田は、元興寺があったエリアやその周辺地域から集められた石仏類で、大小さまざまなものが建てられています。この多くが鎌倉時代末期から江戸時代中期に作られたもので、極楽往生を願って作られたものです。

元興寺

東門。重要文化財の門

元興寺の入り口で登場するのがこの重要文化財の東門です。この東門は、もともと東大寺の西南院にあったものを室町時代である1411年に移築したものです。創建時代は鎌倉時代のもので、重要文化財として登録されています。

元興寺

元興寺へのアクセスと利用案内

元興寺は、奈良の観光スポットである奈良町の中にあります。奈良町はひらがなで「ならまち」と親しまれる古き良き町並みで、その周辺にはさまざまな観光スポットが登場します。

また元興寺は奈良の代表的な観光スポットである奈良公園からも車で5分程度の場所にあります。奈良公園とは東大寺、興福寺、春日大社などが集う、奈良を代表する巨大な公園で、観光客の多くがこの奈良公園を訪れます。非常に広いため、場所によっては元興寺までは遠いですが、最も近い興福寺からは、車で5分ほど、徒歩でも15分ほどで行くことができます。

また元興寺は奈良の主要駅である奈良駅からも車で7分ほど、徒歩で20分ほどの場所にあります。このように元興寺は、周辺にもたくさんの見所スポットがあるため、合わせて見ることができます。因みに、カンデオホテルズ奈良橿原がある橿原駅からは、車で京奈和自動車道を使って約36分ほどでいくことができます。

元興寺の利用案内

所在地:〒630-8392奈良市中院町11番地
TEL:0742-23-1377
FAX:0742-23-1378
拝観時間:9時~17時 (入館締切16時30分)
※8月23日・24日の地蔵会の日は9時~21時
拝観料:大人・大学生:500円、高校生・中学生300円、小学生:100円

元興寺の周辺観光スポット

元興寺はならまちといわれる、昔ながらの町並みの中にあります。いわば、かつての元興寺の境内であった場所です。ならまちの町は太平洋戦争中も空襲を免れたことから、数多くの昔の日本家屋、お寺、神社などが残る奈良の観光スポットの一つです。

奈良市からは奈良町都市景観形成地区に指定されており、さまざまな見所が登場するエリアです。ここでは元興寺があるならまちの観光についてご紹介しましょう。

ならまち。元興寺旧境内の古き良き町並み

ならまちは、かつての元興寺の広大な境内だった場所が町になっているエリアです。かつて、710年に平城京に遷都が行われた際、平城京の周辺に多数の寺社が置かれ、東大寺や春日大社、興福寺などの多数のお寺がきずかれました。元興寺もそのうちの一つであり、同時にその境内の内部では、さまざまな産業が発展したと言われています。

筆、墨、布団、刀、酒、醤油など、昔の人たちが生活を送るための必需品がこの街で多数作られました。因みに、江戸時代に行われた人口調査によると、なんと3万5千人もの人々が生活していたとか。江戸時代にはお伊勢参りのための宿場町としても栄えました。

そんな歴史ある町並みが、太平洋戦争の空襲でも残り、現在まで旧市街として残されているのです。先にもご紹介した通り、奈良町都市景観形成地区として奈良市から指定されており、最近では「ならまち」の名前で親しまれ、観光客も訪れるエリアです。

元興寺はその中でも最も代表的な建物ですが、それ以外にも江戸時代の町屋をモデルにした奈良市ならまち格子の家や、120年の町やである奈良町からくりおもちゃ館など、江戸情緒あふれる日本家屋が残されています。

更に創建されたのが800年という古い歴史を持つ御霊神社や、国宝の十輪院など、多数の名所が登場するのです。元興寺はまさにならまち観光と一体となっていると言ってもいいでしょう。

奈良町

まとめ

今回ご紹介した元興寺は、世界遺産にも登録され、本堂などが国宝に指定されている奈良の見所スポットの一つです。日本で最初の仏教寺院であることを引き継ぎ、周辺にある興福寺や東大寺、春日大社などとも一緒に見ることができます。

また、元興寺があるならまちは、昔ながらの江戸情緒あふれる一大観光スポットとして、貴重な時間を提供してくれることでしょう。おススメの観光スポットです。