道後温泉本館を徹底解剖!何度でも楽しめる温泉

道後温泉本館とは。松山観光のシンボル

松山観光の中心的存在でもある道後温泉。その中で最も代表的な存在が道後温泉本館です。その独特のデザインは、近代和風建築の象徴ともいえるもの。あのスタジオジブリの代表作としても知られる『千と千尋の神隠し』に登場する温泉「油屋」のモデルの一つにもなった建物です。

1994年には国の重要文化財にも登録され、2009年には旅行ガイドブックとしても有名なミシュランガイドで三つ星を獲得しました。そんな道後温泉本館ですが、外から見る独特のデザイン以外にも内部には、さまざまな見所が存在するのです。

また、入浴コースも入浴のみのコース以外に、湯上りに大広間で休憩しながら、お茶菓子などが楽しめるコースや、個室休憩室での利用が楽しめる入浴コース、皇室専用の「又新殿」の見学など、入浴コースもさまざま。

本日はそんな道後温泉本館のすべてと、いろいろな楽しみ方がわかる方法を徹底解剖でご紹介します。松山観光では絶対に訪れておきたい道後温泉本館がより一層楽しいものになることでしょう。

道後温泉本館

 実は複数の建物から成り立っている道後温泉本館

道後温泉本館は、『千と千尋の神隠し』の「油屋」のように、さまざまな構造物が重なりあった、特異な作りが特徴的です。その秘密は道後温泉本館の成り立ちにあったのです。

道後温泉本館の現存する棟で一番古い建物は、今から120年以上前、1894年、明治の中頃に建てられました。当時は、文明開化の真っ最中。開国して数十年、海外諸国との交流も増え、各地に鉄道が敷かれるなど続々と近代化の道を進んでいる時代でした。

道後温泉本館

そんな時代の流れに乗るかのごとく、この松山の地の観光産業の中心になるものとして建てられたのが神の湯本館棟です。当時は今のように“観光”といった産業がまだ存在していなかった時代、道後温泉本館はいち早く観光が巨大産業になることを先駆けて作られた建物なのです。

その後、1899年明治32年に皇室専用の浴室である又新殿、その随件者用として建ったと言われる霊の湯棟が建てられました。その後大正時代に入ってから作られたのが現在の南棟で、1924年大正13年に建立されました。合わせて同年に今の玄関棟が別の場所から移築されています。現在の道後温泉本館は、それぞれ違う年代に建てられた複数の棟が連結して一つの温泉になっているのです。

現在これらの建物はすべてが国の重要文化財に登録されており、内部を散策することで、こうした構造の経緯を感じることが出来ます。

道後温泉本館

道後温泉本館4つの入浴方法を公開

道後温泉本館には4つの入浴方法が楽しめます。一般的に温泉というと入浴して休憩というスタイルがふつうですが、道後温泉本館は、建物そのものが歴史的な価値がある重要文化財であることから、入浴や休憩という楽しみ方以外に、館内の見学などもセットでつけることが出来ます。いうなれば、温泉に入ることが出来る伝統的建造物といってもいいでしょう。

また、休憩も2種類あり、一般的な広間での休憩以外に、個室での休憩も楽しめるところが特長といえるでしょうか。さらに温泉も男湯女湯それぞれ2種類のグレードが存在し、それぞれ料金によってことなります。それでは、さまざまな道後温泉の楽しみ方をご紹介しましょう。

道後温泉本館

神の湯階下:入浴のみのベーシックな楽しみ方

道後温泉本館で最もベーシックな楽しみ方が神の湯階下のみの利用です。こちらは神の湯といわれる温泉の1階浴室を利用できるプランで、一番リーズナブルなプランです。入浴だけしたいという方にお勧めのプランで、大人410円、子供160円で利用が出来ます。

ちなみに神の湯階下は男湯では2つの浴室が、女湯では1つの浴室があります。もともと女湯も2つにわかれていましたが、建物がくっつけられた際、間にあった壁を取り払い、現在の1つの浴室になっています。

以下でご紹介する霊の湯と同様、神の湯にも巨大な石の「湯釜」と言われる湯口が取り付けられており、歴史深い温泉を味わうことが出来ます。ちなみに館内の見学は坊っちゃんの間と、展示室のみ見学可能です。

道後温泉本館

神の湯階下の利用案内

利用料金:大人410円、子供160円

入浴時間:6時~23時

札止め:22時30分

休憩室:なし

館内見学:坊っちゃんの間、展示室のみ可

 

神の湯2階席:入浴とお茶菓子の休憩がセットの楽しみ方

上記の神の湯階下は入浴のみのプランでしたが、このプランにお茶お茶菓子付きの休憩がついたプランが神の湯2階席というプランです。この神の湯2階のプランでは、上記の神の湯の入浴後に、2階にある大広間の休憩室でくつろぐことが出来ます。

また、神の湯階下のプランが浴衣などの貸し出しがなく、温泉を利用して終わりなのに比べて、神の湯2階席は、浴衣の貸し出しがあり、入浴後は浴衣に着替えて、お茶・お菓子のお接待を、大広間休憩室で楽しみながらゆったりとした時間を過ごすことが出来るのです。こちらも神の湯階下と同様、坊っちゃんの間と展示室の見学は可能です。

道後温泉本館

神の湯2階の利用案内

利用料金:大人840円、子供420円

入浴時間:6時~22時

札止め:21時

休憩室:2階席大広間

館内見学:坊ちゃんの間、展示室のみ可

接待:お茶菓子(おせんべい)、浴衣(湯玉模様)あり

霊の湯二階席:2種類の浴室が楽しめる

3つ目のプランが霊の湯2階席というプランです。こちらのプランでは、神の湯以外に霊の湯といわれる、もう1つの温泉に入ることが出来ます。こちらの霊の湯は、大衆浴場向けの神の湯に比べて、浴槽自体の大きさは小さいですが、全く異なる雰囲気を醸し出しており、いわゆるプライベート温泉のような感覚を味わえます。

もちろん霊の湯だけではなく神の湯の方も利用することが可能で、2つの浴室を行き来することもできます。さらに館内見学も坊っちゃんの間と展示室に加え、皇室専用の浴室「又新殿」も見学可能です。

ちなみに、この霊の湯2階のプランから、石鹸と貸しタオルがつきますので、手ぶらで立ち寄っても温泉をしっかり利用できるのです。ちょっと贅沢に道後温泉を味わいたい方にはおすすめの楽しみ方といえるでしょう。

道後温泉本館

道後温泉本館

道後温泉本館

 霊の湯二階席の利用案内

利用料金:大人1250円、子供620円

入浴時間:6時~22時

札止め:21時

休憩室:2階席霊の湯専用休憩室

館内見学:坊っちゃんの間、展示室、又新殿

接待:お茶・お茶菓子(おせんべい)、貸浴衣(湯玉模様)、石鹸、タオル

 

 霊の湯三階個室:個室でくつろぐ極上プラン

道後温泉本館で最上級プランとなるのが、霊の湯3階個というプランです。こちらは霊の湯の利用に加えて3階の個室休憩室を利用することが可能です。道後温泉の休憩室は、神の湯用の2階大広間と、霊の湯専用の中2階の中広間、そして最上階である3階に連なる個室があり、個室を利用するにはこちらの霊の湯3階個室のプランです。

ちなみに3階に、日本を代表する文豪でもある夏目漱石も利用した部屋「坊っちゃんの間」もあり、夏目漱石も味わった近代日本の雰囲気をそのまま体感することが出来るのです。また、霊の湯三階個室では利用時間も1時間20分まで利用可能で、お茶菓子もせんべいから坊っちゃん団子へグレードアップ、浴衣の貸し出しも湯玉模様から、道後温泉のシンボルでもある白鷺模様に変わります。

ちなみに白鷺は道後温泉の発見のエピソードに登場する存在で、足を痛めた白鷺が岩の間の湯に浸していたところを村人が見つけて、温泉に入り始めたという伝説が言い伝えられています。

道後温泉本館

道後温泉本館

霊の湯3階専用個室の利用案内

利用料金:大人1550円、子供770円

入浴時間:6時~22時

札止め:20時40分

休憩室:3階個室一部屋

館内見学:坊っちゃんの間、展示室、又新殿

接待:お茶・お茶菓子(坊っちゃん団子)、貸し浴衣(白鷺模様)、石鹸、シャンプー・コンディショナー、貸しタオル

道後温泉本館の見所

これまでご紹介してきたのが道後温泉本館の様々な楽しみ方ですが、ここからは、その見所をスポット別にご紹介しましょう。

それぞれのプランで楽しめる浴室はもちろんのこと、見学できる坊っちゃんの間、皇室専用浴室「又新殿」、また建物内部に施された微細な彫刻建築まで、道後温泉本館はいろいろな見所があるのです。

 

巨大な石の湯釜と石造りの浴室

道後温泉の最大の見所の1つが浴室です。石造りの浴室と湯釜はほかでは決して見ることはできません。

この湯口と「湯釜」は道後温泉を象徴するもので、現在の道後温泉本館にあるものは明治時代に作られましたが、それ以前にはなんと西暦749年から757年の間に作られたものが使用されており、道後温泉本館からほど近い、道後公園湯築城で見ることが出来ます。

道後温泉本館

振鷺閣とギヤマン

道後温泉本館は建築物の随所に、西洋の技術が見て取れます。その最大のものが振鷺閣とギヤマンです。道後温泉本館は朝6時に開館しますが、振鷺閣はその開館を知らせる太鼓を鳴らす場所であり、その周囲はガラス、当時でいうところのギヤマンで飾られているスポットです。

こちらの振鷺閣は夕方から夜には美しく明かりがともり、幻想的な光景が目の当たりにできます。ちなみにギヤマンに関しては、道後温泉本館からすぐの場所にある道後ぎやまんガラス美術館でも美しいガラス細工の数々を目の当たりにできます。

道後温泉本館

又新殿

又新殿は日本唯一の皇室専用浴室として知られており、そのほかの一般向けの神の湯、霊の湯とは別の場所にあります。

又新殿は、明治32年に完成した建物で、「前室」、「御居間」、「玉座の間」さらには警護のための部屋である「武者隠しの間」といった部屋で構成されており、独得の姿を目にすることが出来ます。

 

坊っちゃんの間

3階の個室の部屋の一番奥にあるのが坊ちゃんの間です。この坊っちゃんの間は日本を代表する文豪でもある夏目漱石が俳聖正岡子規と使った部屋で、夏目漱石の写真などが展示されています。部屋の欄間や柱などの装飾はこだわりぬいた造形が見られ、近代日本の時代を感じることが出来ます。

道後温泉本館

 100年先まで見ていた人物。道後温泉本館を作った伊佐庭如矢

道後温泉本館は今では日本全国からだけではなく世界中から多くの観光客が訪れる、松山観光の一大スポットです。日本で最も古くからある温泉であるとはいえ、道後温泉を一躍世に知らしめた存在が、この道後温泉本館なのです。

実はこの道後温泉本館を作ったのは伊佐庭如矢という人物で、松山の近代化と発展には欠かすことが出来ない人物なのです。伊佐庭如矢は廃城にされるはずだった松山城を残し、老朽化していた道後温泉を改築し、観光地としての発展を目指して道後温泉本館を作りました。

もともと道後温泉本館は複数の建物から構成されているとご紹介しましたが、神の湯本館、霊の湯、又新殿の新築まではこの伊佐庭如矢が行ったとされています。この道後温泉本館改築はまさに一大プロジェクトで、当時としては莫大な建設予算がかかったことから反対運動が激しく行われたともいわれています。一説には命の危険を感じるほどの反対ぶりだったとのことで、それでも伊佐庭如矢はあきらめず、道後温泉が100年たっても他所がまねできないものにし、多くの人が訪れるようになるという信念のもと、一大建設を推し進めたとされています。

結果として、道後温泉本館は、100年、いやそれ以上も残り続ける、世界中から注目される一大観光スポットに成長したのです。こうした道後温泉本館を作った人物のエピソードを知っておくと、実際に訪れたときの感動がまた違ったことになることでしょう。

 

道後温泉本館とセットで見たい周辺の名スポットたち

道後温泉本館には、本館そのもの以外にも数多くの見所スポットが存在します。詳しくは、「道後観光の回り方」でご紹介していますが、ここでは歩いていくことが出来る有名スポットのみ軽くご紹介しましょう。

道後温泉本館の見所として、湯釜をご紹介しましたが、道後温泉本館が建てられる明治時代まで、およそ1000年以上にわたって使用されてきた湯釜がすぐ近くで見ることが出来るのです。それが道後公園湯築城跡です。

湯築城は伊予の国主であった河野氏の居城としてしられ、現在は道後公園として多くの人たちの憩いの場になっています。この道後公園の入り口にあるのが、巨大な石の湯釜です。こちらはぜひ道後温泉本館とセットで訪れてみたいスポットです。

また、道後温泉本館は、市内電車といわれる路面電車の道後温泉駅から歩いてアクセスしますが、この道後温泉駅から道後温泉本館まで続く道後商店街は一大温泉街として様々なお店が並び、温泉とセットで散策を楽しめます。愛媛ならではの特産であるみかんのスイーツやジュース、特産品などが買えるお土産屋さんなど、歩くだけで楽しいスポットで、道後温泉本館の入浴前後に楽しめます。

また、周辺には神社もあり、道後の町が一望できる伊佐爾波神社や、湯神社という温泉の神様を祀った神社があります。さらにはちょっと遠いですが、同じくミシュランガイドに掲載された石手寺などもあり、たくさんの見所が存在するのです。詳しくは道後観光の記事をご参照ください。

道後温泉本館

まとめ

道後温泉本館は伊佐庭如矢が建ててからおよそ120年以上の歳月がたっています。道後温泉本館は、伊佐庭如矢が目指した100年先までこの町を発展させる中心的な存在になり、そして本館を将来に残していくため、保存修理工事に入ることが決定しました。

予定は2019年1月以降に着手、工期は7年の予定で、貴重な文化財を次の世代に受け継ぐための工事になります。ぜひ、保存修理工事前に一度は訪れておきたい松山の中心的な観光スポットといえる存在です。また周辺の道後エリアには道後温泉本館を中心に回れる多数の観光スポットがあるので、こうした街歩きや散策の疲れを取る場所としても道後温泉本館は重宝する存在です。

ぜひ松山観光の際には訪れることをお勧めします。

道後温泉本館を案内してくれた松山市産業経済部 道後温泉事務所主査 柴田仁さん