「坊ちゃん列車」で回る松山市内のオススメ観光ルート

松山観光の情緒たっぷりな坊ちゃん列車

松山の情緒溢れる町並みを特徴づけている坊ちゃん列車。伊予鉄道が運営する路面電車の車両の一つで松山観光の名物ともなっている列車です。この坊ちゃん列車は、今から遡ることおよそ120年以上前の1888年から、1954年の67年間にわたり、実際の走っていた列車を復元したもの。

当時は石炭で動く蒸気機関車として松山から三津の間を走っていた列車ですが、2001年にディーゼルエンジンとして復活し、松山観光の一つの見所と言える存在です。

坊ちゃん列車 松山市内 観光 おすすめルート

松山は、松山城や道後温泉といった有名スポットを中心に、一大商店街である大街道商店街のような商業スポットや、坊ちゃん列車にも因む明治時代の文人、夏目漱石や正岡子規に因む場所など、さまざまな観光スポットが存在する一大観光地。

そんな松山市内の観光スポットをめぐる移動手段の中心ともなっているのが伊予鉄道の路面電車です。そしてこの路面電車の中でも一際、松山のレトロ感を感じさせくれるのが坊ちゃん列車と言えるでしょう。

本日はこの坊ちゃん列車を使った路面電車でめぐる松山のお勧め観光ルートをご紹介します。
一言で松山観光といっても、見所スポットはさまざま。回り方や、ルートによって、より楽しみがまします。またこの坊ちゃん列車を使った観光ルートと同時に、坊ちゃん列車そのものや、観光スポットに因む歴史やストーリーも合わせてご紹介します。

単純に回るよりも、その背景にある歴史やストーリーを知ることでより一層松山の旅が充実したものになるでしょう。

坊ちゃん列車とは。夏目漱石の「坊ちゃん」にも登場

坊ちゃん列車は、冒頭でご紹介したとおり、今から120年以上も前に松山を走っていた蒸気機関車です。その名前の由来は、夏目漱石の小説「坊ちゃん」に登場することから、この名前が付けられたとも言われています。夏目漱石は実際に伊予鉄道の蒸気機関車を、「マッチ箱のような汽車」と小説「坊ちゃん」の中で表現してり、この表現は、まさに乗ったものでなければわからない表現で、今のディーゼルエンジンの坊ちゃん列車でも「マッチ箱のような汽車」がそのまま再現されています。

坊ちゃん列車 松山市内 観光 おすすめルート

坊ちゃん列車を導入した人物。愛媛の近代化を成し遂げた小林信近

この「マッチ箱のような汽車」を松山に導入したのは現在も続く伊予鉄道の創業者の小林直近で、イギリス人技師から教えを受けて少ない資本でも建設することができる鉄道を作ります。それがこの坊ちゃん列車で、中四国地方で初となる鉄道だったのです。

ちなみに、この小林信近は愛媛県を代表する実業家で、愛媛県に多くの産業を興しました。もともとは松山藩久松家の藩士で、明治維新後、家禄がなくなってしまった松山藩士たちを救うため、製紙・製靴・小倉織を扱う工業会社牛行舎を創立。

その後、小林信近は、この伊予鉄道以外にも現在の四国電力の元となる伊予水力電気を創業したり、現在の伊予銀行でもある第五十二国立銀行、現在の愛媛新聞社の元である海南新聞社を創業、松山商工会議所をも作りました。

言うなれば、愛媛県の産業のほとんどを築き上げた人物です。その分野は交通、金融、エネルギー、出版と、まさに現代の愛媛の経済の中心的な企業を創設しました。

そんな小林信近にとって、一際念願でもあったのが愛媛県に鉄道を導入することでした。当時の鉄道建設は、鉄道局を中心に建設が行われ、私鉄では日本鉄道と阪堺鉄道の二社のみが許されていました。

そのような中、小林信近は鉄道建設の出願を鉄道局に行いますが却下されてしまいます。小林信近はそれでも諦めず鉄道局長に直談判を行うなど行動をつづけ、その熱意によって特別に鉄道建設が許可されました。坊ちゃん列車はこのようにして、松山に導入されたのです。

当時、江戸時代から近代国家の建設に邁進していた日本にとって、鉄道は文明開化の象徴とも言える存在でした。そんな鉄道建設は、当時愛媛の近代化に没頭する小林信近にとって宿願でもあったのです。

まさに愛媛の近代化の象徴とも言える坊ちゃん列車ですが、当初は松山-三津間で運行が開始されました。車両は2両からスタートし、ドイツのクラウス社から輸入されたB形蒸気機関車で、夏目漱石が「マッチ箱」と表現した客車もドイツから輸入され使われました。ちなみに現在復刻しているディーゼルエンジンの坊ちゃん列車も2両で、そのうちの1両が開設当初のB形蒸気機関車をモデルにしています。

坊ちゃん列車 松山市内 観光 おすすめルート

マッチ箱という表現がふさわしい列車です。

坊ちゃん列車の乗り方とは 5つの駅からしか乗ることができない

伊予鉄道の路面電車は、下記の図のように、松山城の周辺から道後温泉まで続く路線で、さまざまな駅が存在しますが、坊ちゃん列車に乗れる場所は限られています。基本的に乗降できる駅は5しかなく、道後温泉・大街道・松山市駅・JR松山駅前・古町の5つの駅になります。

また、運行ルートも二つの区間になります。一つが道後温泉から松山市駅の区間の運行ルート。こちらのルートは、乗降できる駅が、道後温泉、大街道、松山市駅の3箇所のみ。もう一つのルートは古町から道後温泉までの区間です。こちらは途中にJR松山駅前と大街道が途中駅で乗降可能です。また、この二つのルートのうち、南堀端・上一万だけは降車が可能です。

坊ちゃん列車 松山市内 観光 おすすめルート

坊ちゃん列車時刻表

坊ちゃん列車の乗り場とルート①  道後温泉から松山市駅

坊ちゃん列車に乗る一つのルートが、道後温泉から大街道をとおり松山市駅まで至るルートです。このルートは片道約20分で、道後温泉から大街道までが11分、大街道から松山市駅までが9分となっています。運行ダイヤや運休情報などはこちらの伊予鉄道のホームページをご参照いただければと思いますが、平日がだいたい朝の9時から15時までの間で往復6本ほど、休日は1本増えて7本ほどが運行しています。

坊ちゃん列車 松山市内 観光 おすすめルート

道後温泉までのルートがメインです。

坊ちゃん列車の乗り場とルート② 道後温泉から古町

もう一つの運行ルートが道後温泉から大街道、JR松山駅を通って古町まで至るルートです。こちらは、上記の松山市へのルートよりも本数が少なく、平日は往復2本、休日は往復3本の運行です。こちらも本数や時刻表、運休情報などは伊予鉄道のホームページをご覧ください。坊ちゃん列車は2台の機関車が走っていますが、定期検査等による運休がある日は1台の運行になるので調べてから乗られることをお勧めします。

料金と乗車券の買い方

坊ちゃん列車は、通常の路面電車に比べて運賃が若干高くなっています。通常の車両で路面電車を利用する場合には、大人160円、子供80円で利用することができますが、坊ちゃん列車の場合は、1回の乗車料金が大人500円、子供250円になります。

ちなみに、坊ちゃん列車に1回の乗車に加えて市内の通常の車両を1日乗り放題のチケットで大人800円、子供400円の金額です。松山市内の観光を回るのには路面電車が本数も多く、移動もスムーズ。1日乗り放題とセットのチケットがあればかなり便利です。ちなみに、乗車券は乗車券販売窓口、または乗車時に車掌さんから購入することができます。

坊ちゃん列車の料金

  • 坊ちゃん列車の料金(1回):大人500円、子供250円
  • 坊ちゃん列車(1回)+市内1日乗り放題:大人800円、子供400円
坊ちゃん列車 松山市内 観光 おすすめルート

切符は車両のなかで、車掌さんからも購入することができます。

坊ちゃん列車の見所とは

復刻された坊ちゃん列車は、2001年にその計画が立ち上がり、2台の車両が復刻されました。両方とも見た目は当時の機関車使用をそのまま再現しており、かつて夏目漱石が「マッチ箱」と表現した客車も当時の姿を再現。明治時代の文明開化の雰囲気を外からでも乗ってみても味わうことができるのです。

見所①:明治時代の車両を再現。水蒸気で蒸気機関車の煙も再現

ちなみに明治時代は石炭による蒸気機関車ですが、復刻版はディーゼルエンジンが採用されています。もともと蒸気機関車が廃止された理由も石炭から上がるもうもうたる煤煙が環境的によろしくないということがあったため、復刻にはディーゼルエンジンが採用されたのです。

ただし、この煤煙をなるべく再現し、当時の姿に忠実に近づけたいということから、水蒸気による煙が出る使用になっています。復活した2両の車両は、坊ちゃん列車がスタートした明治21年の1号機関車と、明治41年製の14合機関車で、サイズは2種類とも同じで、長さ3.9メートル、巾が1.75メートルの可愛らしい機関車です。

坊ちゃん列車 松山市内 観光 おすすめルート

走行中蒸気の代わりに水蒸気を出す演出が見れる。

見所② 明治時代さながらの手動での連結・回転シーン

坊ちゃん列車の見所は、実際に車両や客車だけではありません。それは終点の駅で見ることができる回転・連結シーンが見れる点です。現代の電車であれば、終点の駅に到着しても、回転することなくそのまま反対側の車両が先頭になり出発することが可能ですが、先頭の車両が蒸気機関車で、客車を引っ張っていくスタイルの汽車では、そうはいきません。

静岡の大井川鉄道などは車両の回転台が付いており、先頭の汽車が自動で回転するのですが、なんと、松山の坊ちゃん列車では、人力で先頭の汽車を回転させ、客車も人力で押して連結させるのです。

この回転作業は、終点の駅でもある道後温泉駅、松山市駅などで見ることができます。回転作業そのものは車両をジャッキで持ち上げて回転させ移動し、連結します。この作業は、是非終点の駅で降りた際に見てみてはいかがでしょうか。

坊ちゃん列車 松山市内 観光 おすすめルート

珍しい車両の回転シーンが見られる。

坊ちゃん列車 松山市内 観光 おすすめルート

先頭車両が回転し、その後客車を連結させる。

坊ちゃん列車でめぐる松山市内の観光ルート

松山市内の観光スポットは大きく分類して3箇所に分けることができます。第一が道後温泉周辺、第二が大街道、第三が松山市駅の一体です。道後温泉は道後温泉駅を起点に、有名な日本最古の温泉でもある道後温泉や商店街などが。第二の大街道周辺では、松山城と大街道商店街などがあります。

第三の松山市駅には駅ビルを中心に商店街スポットなどがあり、それぞれで楽しむことができるのです。幸いなことに、坊ちゃん列車の乗降できる駅も、道後温泉、大街道、松山市駅の3箇所であり、この3つの駅を起点に楽しむ方法がお勧めです。ただし、坊ちゃん列車は乗車できる時間も決められており、基本的には移動手段であるため、目的地を絞った方がいいでしょう。

道後温泉駅がゴールの場合。坊ちゃん列車の回転も見れる

松山市内の観光スポットで、最もメインとなるスポットの一つが道後温泉一体になります。そのため坊ちゃん列車で訪れる一番の目的地として道後温泉駅は一番のお勧めと言えるでしょう。また、終点の駅であることから上記でご紹介した坊ちゃん列車の手動での回転・連結作業も目の当たりにすることができます。この道後温泉駅では、有名な道後温泉以外にも数多くの観光スポットがあるため、そちらをご紹介しましょう。

坊ちゃん列車 松山市内 観光 おすすめルート

道後ハイカラ通りから道後温泉へ向かうルート

まず、坊ちゃん列車を降りてすぐ登場するのが、道後温泉本館へと続く商店街、道後ハイカラ通りの入口広場です。この道後ハイカラ通りの入口広場には、有名な坊ちゃんのからくり時計があり、乗ってきた坊ちゃん列車の停車場も目の前にありますので、観光情緒がたっぷりと味わうことができるのです。また、この道後ハイカラ通りの入口には、観光協会もありますので、情報収集に役立てることもできます。

道後観光 おすすめルート

駅前広場にあるからくり時計。ここから道後ハイカラ通り商店街が始まります。

湯神社や伊佐庭神社に参拝

まずは、最もオーソドックスな回り方ですが、道後温泉駅から商店街である道後ハイカラ通りを散策し、その後道後温泉本館に行くというルートです。
温泉に入る前に是非とも参拝しておきたいのが、道後温泉のすぐ近くにある、神社である湯神社や、伊佐庭神社です。とりわけ伊佐庭神社は長大な階段を上った先にあり、道後の町を見下ろすことができます。

坊ちゃん列車 松山市内 観光 おすすめルート

道後の町を見下ろせる神社が見所です。

道後公園湯築城と松山市立子規記念博物館で歴史と文化に

道後温泉に使った後の散策スポットとしては、第一に、かつてのこの愛媛県の戦国大名であった河野氏の居城であった湯築城が道後公園として散策できるのでオススメです。ここにはかつて、明治時代まで道後温泉で使用されていた湯釜が見れます。この道後公園とセットであるのが松山市立子規記念博物館。こちらでは明治を代表する俳人、正岡子規に関する記念展示が見れます。

道後観光 おすすめルート

道後公園の入口にある道後温泉の湯釜

道後観光 おすすめルート

子規記念館

「にきたつの道」で道後の地酒を楽しめる

もう一つの散策ルートとしてオススメなのが、商店街である道後ハイカラ通りと、そこから少し外れたとおりである「にきたつの道」。ここでは道後の地酒のお店や美術館などをめぐることができます。

坊ちゃん列車 松山市内 観光 おすすめルート

道後観光についてのさらに詳しい情報はこちらをご覧下さい。

大街道がゴールの場合。松山城から巨大商店街まで

もう一つ、坊ちゃん列車の目的地としてオススメなのが、大街道をゴールにした場合です。大街道は松山市内の最も中心的な場所。ここでは巨大な商店街である大街道や、松山城に関する観光スポットをめぐることができます。

ロープウェイ商店街と松山城を堪能

大街道で下車してすぐさま行ける観光ルートが、ロープウェイ商店街です。このロープウェイ商店街では、美しく整備された商店街で、松山や愛媛の特産品が並ぶ商店街をとおり、松山城ロープウェイに向かいます。松山城ロープウェイでは松山市街を見下ろす雄大な景色を堪能した後、巨大な松山城を楽しめます。

坊ちゃん列車 松山市内 観光 おすすめルート

坂の上の雲ミュージアムと国の重要文化財、萬翠荘

もう一つ、大街道駅を降りてめぐるルートが、司馬遼太郎の小説、坂の上の雲の展示がわかる坂の上の雲ミュージアムと、国の重要文化財でもあり、松山城の城主であった久松家ゆかりの迎賓館、萬翠荘に行くルートも楽しめます。こちらは少し足を伸ばせば、恋人の聖地にも認定されている松山城二の丸庭園も楽しめます。

松山城周辺 観光 おすすめルート

美しい洋館を見ることができます。

松山城周辺 観光 おすすめルート

司馬遼太郎の小説坂の上の雲と、松山観光が分かるミュージアムです。

松山城周辺 観光 おすすめルート

久松家ゆかりの美しい庭園が広がります。また、二の丸庭園から本丸の天守閣が見える独特の風景も楽しめます。

食事やお酒が楽しめる大街道商店街

最後に、大街道で最大の楽しみの一つが大街道商店街の食です。この大街道は戦後の闇市から発展した巨大商店街で、その周辺に数々の飲食店が揃っています。こちらは商店街のメイン通り以外に、多数の路地裏に隠れた名店が存在するとか。食事やお酒を楽しむことができます。

坊ちゃん列車 松山市内 観光 おすすめルート

松山城周辺の観光についてはこちらもご参照ください。

松山市駅のまわり方

最後に、坊ちゃん列車の終点の一つでもある松山市駅の周辺をご紹介しましょう。この松山市駅は、駅ビルである高島屋があるだけではなく、大街道商店街へと続く巨大商店街の一部でもある銀天街と、まつちかタウンがあります。また、坊ちゃん列車の停車とは反対側には正岡子規ゆかりの子規堂などがありこちらも見所があります。この松山市駅は伊予鉄高浜線への乗り換えもできます。

松山市駅 観光 モデルコース

松山市駅は高島屋を始め四国最大の繁華街です。

松山市駅周辺の観光についてはこちらもどうぞ

まとめ

坊ちゃん列車は、乗車できる本数が限られていますが、松山市内の観光では欠かすことができない存在です。明治初期に導入されたコンパクトな蒸気機関車が忠実に再現されており、夏目漱石の「坊ちゃん」の小説とあわせて、リアルな歴史情緒を堪能することができます。また、松山は松山城や道後温泉など歴史的にも文化的にも非常にたくさんのスポットが残る場所。こうした松山市内の観光ルートの一つとして利用してみれば、旅がより一層充実したものになるでしょう。

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