安倍文殊院。安倍晴明ゆかりの地

安倍文殊院とは

飛鳥時代には日本を代表する多くの氏族が登場します。

今回ご紹介する安倍文殊院も映画や小説、舞台などで有名な安倍晴明ゆかりの観光スポットです。安倍晴明は平安時代に登場する実在の人物で、陰陽師として有名です。

安倍文殊院はそんな安倍晴明の先祖ともいえる阿倍内麻呂が作ったお寺です。京都の切戸文殊、山形の亀岡文殊と共に日本三大文殊院に数えられるお寺です。

また奈良の名所を回ってご利益が得られる大和七福八宝めぐりの一スポットの一つでもあるのです。

更に、ここでは開基である阿倍内麻呂を祀る古墳が文殊院西古墳として国の特別史跡に認定されていることや、国宝である木造騎獅文殊菩薩及び脇侍像 4躯があります。

安倍文殊院

安倍文殊院の見所とは

安倍文殊院は冒頭でご紹介した通り、お寺なのですが、一般的なお寺と違ってまるで公園のような境内が特長です。

更に同時に歴史的な観光スポットとしても知られ、特別史跡である文殊院西古墳は、通常、外からしか見ることが出来ない古墳の中まで見ることができます。

更に、池の中央に作られた金閣浮御堂は、安倍晴明なども祀る場所としても知られています。

美しい史跡公園。四季折々の花

安倍文殊院の最大の見所が、他のお寺とは違う、史跡公園としての魅力です。境内は整備されており、周囲は草木で囲まれ、その中心には大きな池があります。

この池の中央には金閣浮御堂があり、重要文化財の本堂、史跡である文殊院西古墳など文化財が残されています。またこの公園としての魅力をより一層引き立てているのが四季折々で楽しめる花が咲いていることです。

例えば4月には約500本ものソメイヨシノが咲き乱れ美しい桜のスポットとして楽しめます。また1月から3月には中国が原産といわれている「ぼけの花」といわれる花が咲き乱れます。

4月から5月にはつつじが咲き、秋にはコスモスの迷路が出来たり紅葉が楽しめるのです。こうした境内が四季それぞれの花が咲くことで、何度でも楽しめる場所として利用できるのも安倍文殊院の魅力といえるでしょう。

安倍文殊院

特別史跡。文殊院西古墳

安倍文殊院にあるもう一つの見所スポットが特別史跡に登録されている文殊院西古墳です。

この古墳は7世紀後半に作られたものといわれており、一説には安倍文殊院の開基である安倍内麻呂ではないかと言われています。

一般的に古墳というと、大きな円形や四角い形のものを思い浮かべますが、この安倍文殊院の文殊院西古墳は、石で積まれた横穴式の石室で、全長12.5m、玄室長5.1m・高さ2.8m・幅2.9mの大きさです。

更に、この石を積み上げて作られている古墳は、左右の石の数も対称になるように作られており、壁面も弓状に加工されていて、美しいアーチ状になるように緻密に作られている点です。

一説には古墳のなかでは最も美しい形状ともいわれており、境内全体が美しい安倍文殊院にはぴったりの古墳です。またこちらは石室の内部まで入ることが可能で、7世紀に作られた古墳を肌で感じることができます。

安倍文殊院

金閣浮御堂。安倍内麻呂と安倍晴明を祀る

安倍文殊院でひときわ目を引くのが、池の中央に建てられている金閣浮御堂です。この金閣浮御堂とは、開基である安倍内麻呂や平安時代に陰陽師として知られる安倍晴明を祀ったお堂です。

ちなみに安倍文殊院を作った安倍内麻呂とはどのような人物なのでしょうか。安倍内麻呂は飛鳥時代に活躍した豪族で、大化の改新では左大臣に任命されるほど朝廷の要職を務めた人物です。

蘇我氏が大化の改新で没落した後は、朝廷の重鎮として新政権の中枢で政治に参加しました。一方安倍晴明は、小説や映画、舞台などで多くの人に知られる人物です。平安時代に実在した人物で、陰陽師として多くの人に信頼された人物です。

また現代でも小説や漫画、舞台で登場しますが、実は平安時代や中世の文書にも数多く登場しているのです。『大鏡』や『今昔物語』、『宇治拾遺物語』、『平家物語』など、また江戸時代に入ってからも人形浄瑠璃などでも登場します。

安倍晴明が学んだ陰陽道や天文道は、占いや占星術などに関するもので、当時は科学のような最先端の学問とされていました。

これによって安倍晴明は朝廷や貴族たちから信頼され、現代までその活躍が語りつがれているのです。金閣浮御堂は、この安倍内麻呂や安倍晴明を祀る建物として、一見の価値ありです。

安倍文殊院

重要文化財の本堂。内部には国宝が

安倍文殊院の見所の一つが重要文化財の本堂です。この本堂は、江戸時代である1665年に再建された本堂です。

この本堂の奥には普段は見ることが出来ませんが、国宝に登録されている木造騎獅文殊菩薩及び脇侍像が安置されています。この木造騎獅文殊菩薩及び脇侍像は、鎌倉時代の仏師として有名な快慶によって作られたものです。

快慶は、奈良や和歌山を中心に残されている数々の仏像を作った人物として知られ、彼の作品の多くは国宝や重要文化財です。

この安倍文殊院の本堂に安置されている仏像は、「知恵の文殊」として知られる存在です。文殊菩薩像に4体の脇侍像がある形で、快慶の作に見られる繊細で美しい形をしているとのことです。

史跡安倍寺跡や展望台もある

安倍文殊院はこうした見所スポット以外に、かつての安倍寺跡や展望台など多数の見所スポットが登場します。

安倍寺とは、もともと文殊院から南西に300メートルの場所にあったお寺で、安倍氏で有名な安倍仲麻呂の屋敷跡と言い伝えられてきた場所です。

安倍仲麻呂は、奈良時代に遣唐使で唐にわたり、唐で生涯を終えた人物です。唐では難関とされる国家試験を受けて合格し、高官にまで上り詰めた人物です。

この安倍仲麻呂は何度も日本への帰国をのぞんでいましたが、遣唐使船のタイミングや、航海の失敗などから、帰国することが出来ませんでした。最後は大都督という高官にまで上り詰めますが73歳でその生涯を終えました。

安倍寺はそんな安倍仲麻呂ゆかりのお寺であるのです。ちなみに現在の重要文化財である本堂は安倍寺の本堂であったもので、その貴重さがうかがえます。

また、安倍文殊院には展望台があります。この展望台は、陰陽師である安倍晴明が天文の観測場所として上ったとされている場所で、安倍晴明ゆかりの場所として訪れることができます。この展望台は晴れている日には大和三山といわれる奈良の山々を見通すことができるとされています。

安倍文殊院

安倍文殊院へのアクセス

安倍文殊院へは、車で行くのがベストです。周辺にある駅からもタクシーで15分程度かかります。橿原駅近くにあるカンデオホテルズ奈良橿原からも車で15分ほどで行くことができます。

安倍文殊院の付近には同じぐらいの距離で、石舞台古墳や飛鳥寺、談山神社、などがあるので、車で一緒に回って観光するのがおススメです。

安倍文殊院の利用案内

所在地:〒633-0054 奈良県桜井市阿部645
TEL:0744-43-0002
FAX:0744-46-3000
拝観時間 :9時~17時
ご祈祷受付 :9時~16時
料金:本堂 国宝文殊菩薩(お抹茶・菓子付き)大人700円小学生500円、金閣浮御堂霊宝館(七まいりおさめ札・お守り付き)大人700円小学生500円、A + B 二ヶ所共通拝観券大人1200円小学生800円

安倍文殊院と回りたい周辺観光スポット

安倍文殊院の周辺には、奈良の観光スポットが多数登場します。ここでは安倍文殊院とセットで回りたい観光スポットをご紹介しましょう。

藤原宮跡

安倍文殊院から車で10分ほどの場所にあるのが藤原宮跡です。藤原宮とは、橿原市と明日香村にかかる場所にあったかつての都です。日本の都は中国の条坊制といわれる都市計画を参考にして作られています。

その最初が大化の改新で作られた難波の宮で、その次の都として作られたのが藤原京だったのです。いわば当時の日本の首都であり、政治の中枢でもあったのです。

藤原京の後は平城京、平安京と続きますが、藤原京は694年から710年、わずか16年間という非常に短い期間、都であったのです。

この藤原京の大きさは、何とのちの平城京や平安京をしのぐ大きさを持っていたとされ、規模は、5.3キロメートル(10里)四方、その大きさは25km2にも及んでいたとされています。

そしてその藤原京の中心であった宮城の場所が藤原宮です。この藤原宮は周囲1キロメートル四方の城壁に囲まれており、ここでは発掘調査が進められるとともに当時の大極殿の遺構が復元されています。

その規模は基壇は東西約52メートル、南北約27メートルという巨大なもので、朝堂院の柱の一部が建てられています。

奈良には、奈良駅の周辺に平城京の復元された巨大な観光スポットがありますが、こちらの藤原京も同じかつての都として訪れてみてもいいでしょう。

藤原宮

飛鳥寺

安倍文殊院から同じく車で10分程度の場所にあるのが飛鳥寺です。飛鳥寺は、日本で最初の仏教寺院といわれるお寺で、安倍文殊院を開設した安倍内麻呂も同じ時期に仕えた蘇我馬子が作ったお寺です。

当時の飛鳥寺は南大門を備えた巨大なお寺でしたが、現在は、田園風景の中にたたずむうつくしいお寺として訪れることができます。

この飛鳥寺では、大化の改新で討たれた蘇我入鹿の首塚もあります。安倍文殊院の安倍内麻呂は大化の改新で左大臣に任命されたため、当時の歴史を振り返って訪れると感慨深いものがあることでしょう。

飛鳥寺

まとめ

安倍文殊院は奈良の観光スポットであるお寺や神社仏閣のなかでは、美しい風景が楽しめる史跡であるとともに、現代でも多くの小説や漫画、映画などで題材にされる安倍晴明ゆかりの観光スポットとして訪れることが出来ます。

また四季折々で境内に咲き誇る花が変わり、季節を通じて楽しむことが出来るのでしょう。更に周辺には、かつての都であった藤原京や、日本で最初の仏教寺である飛鳥寺、石舞台古墳や藤原氏ゆかりの談山神社など多数の観光スポットが登場します。

是非、周辺の橿原エリア、明日香村エリアの観光スポット共にめぐってみてはいかがでしょうか。